夏の夜の夢

 227.

その後の記憶は、ひどく曖昧だ。

何度か目が覚めたけれど、私は何も言えなくて、陽も何も言わなくて、ただまだ夜だということだけが分かった。
だから空にはまだ流星が見えるのだろうかと考えたりしたけれど、それを見上げるのもなんだか億劫で、きれいな星が流れていたらいいな、とだけ思った。

気付いた時には、私は陽に支えられながら立っていて、そこには





陽が私に何かを手渡して、そのまま自分の胸に押しあてた。
これが何だか、私は覚えている。
三日月の羽根。





「    」

陽が私の耳元で、一言だけ囁いた。
小さい声だったけれど、確かに聞こえた。

私も同じことを言い返そうとしたけれど、遮られてしまった。
どうやって遮られたのかは、とても恥ずかしくて、きっと誰にも言えないんだろうけど。

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