森の中で

 E.

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まったく、エルの人間嫌いにも身勝手さにも、困ったものです。
まだ歳が若いということもありますし、過去にあった何らかの出来事が、そうさせている可能性もありますが。

人間へ応援を頂く事は、恐らく避けられぬ事態。
彼へ遣いを願うのは恐らく決定事項となるでしょう。
……まあ、良い薬です。
東洋の言葉で言うと、灸を据える、でしょうか。
戒めの為に厳しく処罰することを、その様に言うそうです。
灸が何なのかは知りませんが。きっと、恐ろしいものなのでしょうね。

それはさて置き、こちらも準備を進めねばなりませんね。
何せ人間へ応援を頼むなど、滅多に無い事ですから。
少なくとも、私は聞いたことがありません。

依頼する宛があると言うと嘘になりますが、私には心当たりがあります。
以前まで私の元にいた仲間が、今、人間の元に身を置いているのです。
彼女なら、少なくとも私の話くらいは訊き入れてくれることでしょう。
……問題は、彼女のトレーナーですね。

以前、彼女から訊いた話では、そのトレーナーは気品にあふれた、お優しい方なのだとか。
特に我々、フェアリータイプのポケモンへの愛情は、計り知れないと言います。
だからこそ、自分は彼女のパートナーになった事を誇りに思う、と話してくれました。
彼女がそこまで信頼を寄せているのならば、何か知恵を貸して下さるかもしれません。
住む世界が違うからと言われれば、それまでなのですが。

さぁ早速、取り掛かることと致しましょう。

彼……ピスカを、深い眠りから救い出してあげなければ。

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