ランブルマリナ・ストリッパーズ
5.ヒナちゃんは、私と同じ世界から来た。
彼女も元々、ポケモンがいるこの世界の人間ではないのだ。
驚いたことに、彼女の手持ちポケモンであるゲンガーのラクちゃんも、私達と同じ世界から、輪廻転生を繰り返してやって来た身なのだという。
この世の中は、本当によく分からないことだらけだ。
「さて、そろそろ帰らなきゃ。私、怒られちゃう」
この世界に、私達の本当の家族はいない。
「うちにはお父さんもお母さんもお兄ちゃんも弟も、妹も、沢山いるからね」
血の繋がった家族は、どこにも。
「あはは、大家族ね」
「ミツキちゃんのとこは、二人だけで寂しくないの?」
「え? うーん、それが当たり前になっちゃって、考えたことが無かったのかも…。でも、ヒナちゃん達と一緒にお泊りをした日からしばらくはね、寂しかったわ。陽と一緒にご飯を食べてる時も、凄く静かに感じちゃった」
「だったら尚更、帰ってあげなきゃね。陽くん、きっと寂しがってる」
「ふふ、ヒナちゃんこそ。きっとみんな、凄く心配してる」
けれどこの世界には、帰る場所がある。
私達の帰りを、待ってくれている人がいる。
「そうだね」
照れたように目を細めて、ヒナちゃんは頷いた。
ああ、なんて素敵な家族なんだろう。
何だか私には、とても眩しい。
昔、ある人が言っていた。
家のある場所が、帰る場所じゃない。
家族のいる場所が、帰る場所なのだ。と。
「ねぇ、ヒナちゃん」
でも、その前に。
その前に、もう少しだけ。
「帰る前に、もう少しだけ、お話してもいいかな」
話したいことが、沢山あるの。
そう言うと、ヒナちゃんは笑って頷いてくれた。
さあ、何から話したらいいんだろう。
きっと、一度話し出すと、止まらなくなってしまう。
いくら話しても、話し足りない。
楽しくて楽しくて、時間なんか、忘れてしまうかもしれない。
でも、日が沈んでしまう前までには、帰らなきゃ。
傾き始めた太陽の光を、あのサンキャッチャーが全て吸収してしまう、その前に。
(おわり)
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