ランブルマリナ・ストリッパーズ

 4.

「ねぇねぇ、陽くんとは、どうして喧嘩しちゃったの?」

そう言って、こてんと首を傾げるヒナちゃん。
一通り気になるお店を回った私たちは、近くのカフェテラスでアイスクリームを食べていた。
窓際に飾ってあるサンキャッチャーが、小さく瞬く太陽を散りばめて、目の前のバニラアイスに降り注ぐ。
どうして、か。

「うーん、そうだなあ…」

「もしかして、言いづらい?」

「ううん。そうじゃないんだけど…。何だか、あまりにも馬鹿馬鹿しくて、恥ずかしいというか、なんというか…」

「あはは。実はね、私もなんだあ」

そう言って、溶けかかったアイスをスプーンでいじるヒナちゃん。
プラスチック製のスプーンが、とろりとしたアイスクリームで汚れていく。

「なんか、うちの喧嘩っていっつもそう。本当、自分でも思い出せないくらい、アホらしい事で始まるの」

「うん」

なんか…、分かる気がする。

「でもね、そういう喧嘩をする度に、世界の終わりだーって気がするんだぁ」

「うん…」

それも、分かる気がする。

「なんか、そういうのってさ」

スプーンが、すっかり溶けきったアイスをすくい上げる。

「私の前の家族と、同じなの」

だから私、嬉しくって嬉しくって!
ヒナちゃんは屈託なく笑って、私の方へ顔を上げた。
ぺろりと舐められた彼女のスプーンに、もうあの甘いアイスクリームは残っていない。

サンキャッチャーから反射するカラフルな光が、きらきらと辺りを彩る。
ゆるやかに流れるその光たちが、この空間を包み込んでいる。
ああ、まるで、海の中みたいだ。


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