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早朝。
まだ太陽も出ていない薄暗い時間帯から俺の一日は始まる。
横には穏やかに寝息を立てる俺の恋人がいて、そっと口元にキスをして小さいベッドから足を下ろした。

ぼさぼさの頭を掻きながら台所へ。
手を洗って、仕掛けておいた炊飯器の蓋を開ける。水蒸気の熱に手を焼きながら、濡らしたしゃもじで米を切る様にしてかき混ぜる。
米を冷ましている間に鍋に火を掛け、昨日残った野菜スープを温める。
ふと、腹が減った……と思い、棚からロールパンを取り出して、レタス、チーズ、ハムを適当に挟んでそのまま食べた。旨い。
牛乳を取り出してコップに注ぎごくごくと飲み干していると、ぺたぺたと足音が聞こえた。

「おはよう」

「おはよう……」

目をこする彼女は、かじりかけのロールサンドを手にした俺を見ると、分かり易く口をへの字に曲げてこう言った。

「ちゃんとテーブルで座って食べて……」

「うえっ。わ、悪い……」

ロールサンドと牛乳を両手に抱え、俺は大人しくテーブルに着く。

「もう、お皿も出さないで……」

そう言いながら、彼女は手際よく俺が作ったのと同じロールサンドを三つ作り、一杯の牛乳と二枚の皿、そして先程温めた野菜スープ二杯をお盆の上に乗せ、俺の目の前の席に着いた。
俺の目の前に野菜スープ一杯と浅い皿が置かれ、皿の上にちょこんとひとつのロールサンドが乗った。このロールサンドだけ、具がもりもり入っている。嬉しい。

「ありがとう」

「どういたしまして」

軽く笑った彼女が、控えめに言ってめちゃくちゃ可愛い。

「いただきます」

丁寧に手を合わせて言う彼女を見て、そういえば自分は言っていなかったと思い返し、倣って合掌をした。

「いただきます」


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