ペンローズの階段を降りる
3.閑静な住宅街の空き地なのか駐車場なのかよく分からない場所に僕等の乗るパトカーは停まっていた。
「右のデコを車から降ろせ」
「えっ……」
「早く」
運転手の男に促され、僕は無我夢中でパトカーから警官を降ろすことに専念した。手を拘束されたまま脇の警官を掻き分けて車のドアをこじ開け、転がす様に警官を車から落とした。……警官達はどうやら、眠っているだけの様だ。その間、運転手の男は僕の左隣に居た警官の胸やズボンのポケットを物色している様子だった。そして。
「ほらよ」
何かを投げられて慌ててキャッチする。小さな鍵だ。恐らく手錠の鍵だろう。
すると運転手は急に運転席から降りて左隣の警官をパトカーから引きずり落とし、いきなり身ぐるみを剥がし始めた。警官はあれよあれよという間にパンツ一丁になった。水色のしましまトランクスだった。
そして運転手は、僕の方をふり向いて言った。
「お前、手錠外さねえのかよ」
「え。でも僕、手錠を嵌められてて……」
「それは自分で何とかしろ」
そう言って運転手は、僕のズボンの右ポケットに手を突っ込んだ。
な、何だ……!?
「これだな」
取り出したのは白いレースのハンカチだった。僕はこんなもの、持ってない。どうして僕のズボンのポケットに、こんなものが……?
僕が目を丸くしていると、運転手はハンカチを二枚に引き裂き、一枚を先の警官の股間に押し込んだ。そしてもう一人の警官も同様、手慣れた様子で身ぐるみを剥がしパンツ一丁に仕立て上げると、最後の仕上げと言わんばかりにハンカチの一片を股間にねじ込んだ。
「さーて、と」
ぱんぱんと手をはたいてパトカーに乗り込むと、運転手は先程剥いだ警官服を助手席に投げた。
そして振り向き僕の方を向く。
「今からお仕事だよ。よろしくね、人質ちゃん」
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