第四章

 39.

***

「ああもうやだぁ〜! ねえちょっと、このジュペッタくんたち超可愛いんだけどぉ〜!」

「おいお前、さっきからちょっとカマっぽくなってんぞ。気色悪いから止めろ」

「はぁ……。いいからあんたたちもこの文章の続き考えてくれよ……」

三人のロケット団は、二匹のジュペッタに手を焼いていた。
……否、主に手を焼いているのはジュペッタそのものではなく、それを上司に報告するための報告書なのだが。

「ジュペッタ二匹拾っただけで、なんで報告書なんか……。面倒くさ……」

「盗りこぼしだからだろ。たった一匹盗り逃がしただけでも、この計画は台無しになるからとか何とか……」

「だからってさあ〜、わざわざ報告書を書く必要ないよねえ。超手間!」

「じゃあ早くこの先の文章考えてくれよ……。遊んでんじゃねえよ……」

頭をがしがしと掻きながら、ロケット団の一人が苛立ちの声を上げた。
やいのやいのと机に身を寄せる三人の横で、大人しくその様子を見つめる、二匹のジュペッタ。
そのうちの一匹、黎明が智秋にこっそりと耳打ちする。

「ねえぇ〜……。まだ駄目なのお?」

「まだだめかなあ……」

「うへぇえぇぇ〜」

預けていた壁から背中をずり落としていく黎明。
そんな黎明をみて、智秋も苦笑いをした。
誤算だった。まさかこんなことに時間を取られるなんて。
このままでは兵太と約束していた時間を、大幅に過ぎてしまう。

「……」

「……」

先程から黙って隙を伺っているものの、どうにも上手くいかない。
同室に三人も居て、更にこの部屋を出てもそこはロケット団の団員だらけだ。
下手に動けばすぐに捕まってしまうし、暴れたところで所詮自分達はたった二匹のジュペッタでしかない。
多勢に無勢。反撃されて、その後も何をされてしまうか分からない。
それなら、今は黙ってこの場を動かないでいる方が正解だ。

「うーん、どうしよう……」

「うわあぁあん、退屈うぅううぅぅ〜〜〜〜……」

二匹の小さな嘆きの声は誰にも届かず、ただ刻一刻と、時を進めていくだけだった。
そんな彼等の元に、静かに、しかし物凄い速さで近づいている影が在るのだが、そんなことはこの場に居る誰もが知る由もなかった。

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