俺には好きな人がいる。
一目惚れとか信じないタイプと言い張っていた俺の思考を、1秒で真逆の考えにしてくれた人。
みょうじなまえという、とんでもなく美しい先輩がこの学校には存在した。

みょうじ先輩を校内で見かけた時、同小だった友達と歩いていた足が急に止まってカバンを落とすという典型的な反応をし、そしてしっかり恋に落ちた。

「…千冬?どうした?」
「あ、い、いや」
「うわ!おい!みょうじ先輩じゃねーかよ!」
「まじかよ!いつ見ても本当綺麗だよなー」
「…え?みょうじ先輩?」

俺が見惚れてしまった女子生徒を見て周りが色めきだった。そして、俺だけ話がついていけていない。

「千冬、お前知らねーの!?」
「みょうじ先輩って一つ上の先輩で、この学校の絶対的マドンナって言われてる人だぞ?ファンクラブもあるらしいし、他校にも有名って聞いたしやべーよな」

俺の心を奪った人は、開始早々手の届かないところにいた。あっけねー。

「まー、綺麗な分いろんな噂もあるけどな」
「噂?」
「売春してるとか、学校の外では男とばっかりいて何股もしてるとか」
「ヤリマン?」
「うわ、俺も遊びでいいからシてくれねぇかな」

ダチが話す事はどこまでが本当か分からないけど、5分前の俺の恋心を踏み躙ってくる事ばかりで、普通にショックを受けた。

意識をするようになってからは、校内でみょうじ先輩を目にする事が増えた。というよりも、恐らく俺が無意識に探してるだけだと思う。信憑性もない噂話を聞いた時は、少なからずショックを受けたけど俺の気持ちは思ったよりも強かったようで、見かける度に好きになっていた。

でも、この気持ちは俺だけのものでいいと思っている。他の奴らみたいに"ファン"だなんて気持ちではない。みょうじ先輩に片想いをしているのは、もう隠せない事実でしっかり受け入れている。

ただ、これといって行動を起こしていないし、進展だなんてもっての外。このまま10年後とかに同窓会で「俺、実はみょうじ先輩好きだった」と思い出話になる未来しかみえていない。

それでも好きなもんは好き。それが恋ってやつ。

って俺のバイブル漫画に書いてあった。

あなたの存在





back top