01
俺はスカウトで神戸の稲荷崎高校に入学した。もちろん入学してからすぐにバレー部に入部して、毎日朝から放課後までバレー三昧。
そんな生活が慣れ始め、月日はあっという間に入学してから1ヶ月が経っていた。
そんな頃にもなると話題はまぁ高校生らしい話が盛り上がる。
「バスケ部のキャプテンめっちゃかっこええよな!」
「でもあの人吹部の先輩と付き合ってんで」
「2年のチア部でめっちゃかわええ人おるよな」
「隣のクラスの〇〇さんって彼氏おんのかな。めっちゃ顔タイプなんやけど」
青春を謳歌する気満々の人達はこうやって学生生活を楽しんでいるんだろうな、と俺には縁のないように第三者目線で考えていた。
稲荷崎高校バレー部は強豪ということもあって、注目度も他の部活に比べるとかなり高い。そんな中、中学時代からいろんな意味で有名だった双子が同輩にいて、学年の女子の大半はそんな彼らの話題で持ちきりだった。
「なぁ!さっき侑くん見かけてんけどほんまバリかっこええな!」
「今日バレー部見学行かへん?私治くん推しやねん」
「侑くんも治くんもかっこよすぎて選べへん…」
「バレーもめっちゃ上手いんやろ?どうしよ、ほんまに好きになりそうなんやけど!」
廊下を歩いてるだけで何回もあの双子の話題を耳にする事もザラじゃない。
そして男子の大半の話題は。
「お前のクラスのみょうじさんと結城さんほんまかわええよな。羨ましすぎるやろ」
「お前どっち派?俺みょうじさん派」
「みょうじさんってチア部やろ?チア部の衣装着たらもっとやばいやろな」
「みょうじさんって胸でかない?あれ、俺調査やとEはあるんちゃうかな」
「3組にみょうじさんと結城さんおるのズルすぎやろ!しかも宮治もおるやろ?なんなんあのクラス」
「みょうじさんと結城さんって小学生からの仲で親友らしいで。あんなかわええ子と綺麗な子俺の学校おらんかったわ」
隣のクラスのみょうじ なまえさんとそのみょうじさんの友達の結城 絵麻さん。
男子の話題は圧倒的にこの2人で溢れていた。
みょうじさんはチア部で結城さんは吹奏楽部に入部したらしい。みょうじさんは可愛い顔をしていて、結城さんは綺麗な顔をしているから、勝手に「どっち派」って話題にされる事も多い。
彼女らは派手な一軍、ってよりも一軍にも好かれてるし他のクラスメイトとも仲良くしてるタイプの本当の人気者らしい。
この2人は治と同じクラスで、隣の3組は休み時間やたら人で溢れていた。
好きとかは無しにしても、整った顔してるとは俺も初めて見た時から思っていた。
バレー部ももちろん男子高校生だから、俺らも2人の事はよく話題にさせてもらってる。
「サムってみょうじさんと結城さんと仲ええの?」
「あー、まぁ同じクラスやし。絵麻とは席も近いでよう喋るで」
「絵麻!?おまっ、名前で呼んどるんか!?生意気すぎやろ!?」
「いや、普通やろ。なんなら向こうから名前で呼んでくれたんやから俺悪くないで」
「侑うるさ…」
「角名も腹立つやろ!?サム、お前調子のんなや!」
「なんやねん。ツムも呼んだらええやん」
「呼べるかアホ!」
双子のいつものくだらない喧嘩を傍観しつつ、話題の子と仲良いというのは少し興味が湧いた。
「治はみょうじさんと結城さんどっち派なの?」
俺がそう聞くと治と侑と銀は俺を見て固まった。
「え、なんか悪いこと聞いた?」
「いや、角名が女の話題に興味持ったのが予想外やった」
「あー、いや、そんな興味はないけど」
「いや、興味持てや」
なんやおもんな、と侑に悪態をつかれつつ、すぐにいつもの空気に戻った。
「ほんで?サムはどっち派?」
「どっち派とかわからんわ。どちらかというと仲ええんは絵麻やけど」
「よかったー、俺圧倒的にみょうじさん派やねん」
「ツムの趣味こそ興味ないわ」
聞いた俺が言うのもなんだが、本当にただの興味本位だったからへぇ、としか感じなかった。
「そんな質問をしてきた角名はどっちなん?」
「え、俺?」
「お前が聞いたんやろー」
「えー、わかんない。けど、んー」
「めっちゃ考えるやん」
俺なんかに評価されたくないだろうな、と勝手に卑屈になっていたけど、まぁ別にそもそも向こうも俺に興味ないかと開き直ってもう一度考えてみた。
「みょうじさん、かな」
「うわー、角名と俺ライバルやんか」
「えっ、侑本気なん?」
「いや、本気やないけど」
「なんやねん」
直感だった。なんとなく、本当にその程度でみょうじさんと口にした。
そんな話をしてた1ヶ月後、俺の耳にこんな噂が入ってきた。
「みょうじさんって角名の事好きらしいで」
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