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※微エロあり



いよいよ文化祭が始まる。倫太郎くんのシャツはブカブカのため、袖を捲って緩めの羽織もの風にした。葉月作の名札も分かりやすい位置に付けてある。
絵麻と治くんは午後の店番のため午前は2人で行動するらしく、楽しそうに教室を出て行った。午前の店番チームは円陣を組み気合を入れて自分の持ち場につく。私は会計と品物渡し、たまに客寄せでクラス前に立つように言われてる。関西の人が多いからたこ焼きを焼くのはみんな得意だった。みんな手慣れた様子でたこ焼きを作って行く。始まってすぐにお客さんが少しづつ入ってくる。

一応話し方もギャルにならないといけない縛りがあるため、教室内はわざとらしいギャル語が飛び交う。特に一軍女子はノリノリで聞いてるこっちまで笑ってしまう。会計の場所は3ヶ所作っているため、回転はとても早く効率が良い形態になってる。

「激ウマたこ焼きお買い上げぇ〜!!」
「「「上げぇ〜〜〜〜!!!」」」

女子がノリノリで声を揃えて言うと笑ってくれるお客さん達。

開始から1時間ほど経つと明らかに男子生徒が多くなってきた。噂を聞いてギャルの服を見に来たようだった。

男の子2人組の少しチャラそうな他校生が来て、たこ焼き2つ買ってくれたものの、商品提供までに少し時間を要した時に話しかけられた。

「むっちゃ可愛いギャルってキミの事やろ!ほんまにむっちゃかわええやん!彼氏おっても俺気にせえへんから、とりあえず連絡先交換しようや!」

彼氏持ち名札も付けてたし、こういった絡みはされないと思っていたが、今日初めて連絡先を聞かれて少し困惑した。彼氏おるって言ってるやん察しろ、と内心で悪態をついた。しかし、葉月にこうゆう客絶対いるから、そうゆう時はギャルモードとかいらんから敬語で淡々と断れと言われている。

その教えを守り、先ほどまで「お兄さん達上げぇ〜!」とテンション高めに接客してたが、連絡先交換と言われた瞬間に表情筋をスッと緩めた。

「あ、ほんまに彼氏以外興味ないのですみません。たこ焼き2つです。ごゆっくりどうぞ」
「あ、はい…」

その後、次のお客さんをギャルモードONにして接客をし始める。温度差に周りも引きつつ、今の会話を聞いてた教室内の客達は絶対にナンパしてはいけないと察してくれた。

そのすぐ後に侑くんと銀島くんが来てくれた。

「なまえちゃんむっっっっちゃかわええ!!!写真撮ってもええ!?」
「侑もう撮ってるやん。ごめんな〜、みょうじさん」
「全然ええよ。むしろ2人とも来てくれてありがとうね!」
「あれ?なまえちゃんギャルモードは?」
「2人が来てくれてほんまにテンアゲブチ上げぇ〜〜〜!!あざ丸水産よろ卍〜〜〜〜!!!」
「なまえちゃんギャルを履き違えてへんか?むっちゃかわええけど」
「ギャルというかちょっと変な子になってんで」
「ギャルとかよう分からへんもん」

2人に笑われながら会計をする。焼き待ちが少しだけありそうだった。

「さっきのナンパ撃退の瞬間ちょうど動画撮ったから角名に送っとくな」
「え!動画撮ってたん!?恥ずいわ〜。むっちゃ真顔でブサイクやったやろ?」
「むっちゃ真顔やったけどかわええから大丈夫やで。あれおもろかったわ〜。多分俺の笑い声も入っとるし」
「侑普通に笑っとったからビックリしたわ」
「あんなん笑うやろ。あ、この後角名にゃんに会いに行くからその時に見せればええか」

その時にたこ焼きが出来たので商品を渡した。

「倫太郎くんによろしく言うといて。あと倫にゃんの写真もよろしく」
「…俺の事もあつにゃんって呼んでくれへん?」
「何言うてんのお前猫ちゃうやろ、はよ行くで。みょうじさんありがとな〜。店番頑張って」

そう言ってたこ焼きを頬張りながら教室を出て行った。私の店番ももう少しだから、終わったら4組に早く行こうと決めていた。

その後、他校生を中心に何人かから連絡先を聞かれたが、真顔対応もしくは葉月による毒舌ブロックにより、面倒な事は避けられていた。

今は少し水分補給で他の子に会計を任せている。店番交代まであと20分ほどになった時に、絵麻と治くんが戻ってきた。

「なまえお疲れ様。なまえ効果でむっちゃ繁盛しとるらしいやん」
「そんな事ないけどな〜。普通に女子高生達のギャル効果やろ」
「そういや、はよ角名のとこ行かんくてええの?アイツむっちゃ女子に指名されてたで」
「指名とかあるん!?ってか何!?倫にゃん女子に囲まれてるん!?無理なんやけど!」
「俺らもう戻って来たし、はよ上がって角名にゃんのところ行ってきや。お礼は美味い飯でええから」
「私はセブンの新作デザートでええよ」
「ちゃっかりしてるやん。助かるけど。じゃあもう抜けるわ!ほんまありがと!」

そう言って軽くメイクと髪の毛を直して、香水を少しだけ付けて4組へ行く。並んではなかったけど、中には人が多く入っていた。入り口に立ってるとチア部の友達が声を掛けてくれた。

「なまえやん!え、むっちゃかわええ!エロない!?やっぱり3組は華が多い分、ビジュで攻めてくる説合ってたわ」
「何の予想してん。しかもこの服私選んだ訳やないから!」
「分かっとるって!でもむっちゃかわええよ。あ、すなりん目当てやんな?あそこの席座っててや。少し待つかもやけど呼んでくる」

友達に言われた席に着くと、4組の子達からの視線を痛いくらいに感じた。気まずくてスマホをいじりながら待っていると、誰かが隣に座った。

「みょうじさんやんな?俺、篠宮って言うんやけど知ってる?サッカー部やねんけど」

ホストのヘルプ的な感じで隣に座って勝手に自己紹介をしてきた篠宮くん。担当以外興味ないんやけどなぁ、と思いながらも倫太郎くんのクラスメイトやしな、と愛想良く会話をする。

「あー、ごめん。他のクラスの子あんま接点あらへんから分からへんくて」
「あははっ、全然ええよ。今日覚えてくれたら嬉しいわ」

ほんまにホスト来たんかって内容で、なんだかむず痒くなってくる。私の担当どこやねん。

「角名に会いに来たんやろ?今アイツ大忙しやから来るの遅なるんちゃうかな」
「大人気やもんなぁ。でもこの後一緒に周る予定やから大丈夫。篠宮くんも、私に気遣わへんでええよ。倫太郎くん来るまでスマホ弄ってるし平気やで」

そう言うと篠宮くんは何故か少し距離を縮めてきた。

「俺も一応店番やから仕事やし、気遣ってる訳やなくて来たいからこの席に来たんやで。みょうじさんってほんまスタイルええんやな。その服もむっちゃ似合っとるし」

何だか体を至近距離でジロジロ見られていて凄く嫌な気分だった。まぁこんな服で来たのが悪いんやけど。

「角名が羨ましいわ〜。なぁ、角名と大人な事とかもうしたん?」
「なんでそんな事言わなあかんの?」
「気になるやん。角名ってクールな感じやし、なんかミステリアスやん?んで、みょうじさんは有り得へんくらいかわええから、そんな2人がどんなお付き合いしてるんかなって」

まだ話して10分と経ってないけど、私はこの人が苦手だ。初対面でグイグイ来るこの感じがありえへん。しかもそんなプライベートな部分をズケズケと。

「近藤にも犯されたんやろ?みょうじさんって意外と押せばいけるん?俺にもチャンスある感じ?」
「ねぇよ。どけ」

近藤くんの事がどういった風に話が回ってるのか知らないが、この話だけはされたくなかった。確実に私を軽視してる物言いだった。その時現れたのは、他でもなく私の大好きな彼で、その彼の顔は衣装とは真逆にかなり怒っていた。

「何俺の彼女とワンチャン狙ってんの?普通にキレるけど」
「冗談やんか。お前がこんな可愛い彼女放って他の女を相手してるのが悪いんやろ」

お邪魔者はどきますよ〜とおちゃらけた様子で立ち去る篠宮くん。ハァ、と大きな溜息を吐きながら私の隣へ座る。

「倫太郎くんお疲れ様。店番はもう終わったん?」
「お疲れ。篠宮がなまえに言い寄ってそうな感じだったから、お客さん放って来ただけ。大丈夫?」
「え、倫太郎くんの方が大丈夫なん?お客さん放って」
「別にこれでバイト代とか貰ってる訳じゃないし、俺の都合優先しまーすってクラスの子に言って来たから大丈夫」
「横暴やん」
「そんな事より、大丈夫?ごめんね、篠宮に嫌な事言われてない?」
「倫太郎くんの顔見たら平気になったわ。倫にゃん似合ってるやん」
「ほんと?てかツーショ撮ろうよ」

そう言いながら自分のスマホを取り出して、手際よく操作しインカメにして構える。いくよー、と言い数枚ツーショットを撮ると、近くにいたチア部の友達が他撮りで撮ったるでと言ってくれたのでお願いした。

「っふふ」
「何笑ってるん?」
「いや、猫とギャルおもろいやろ。あのクールなすなりんも猫受け入れてる感がおもろい」
「なまえが楽しみにしてくれてたからさー」
「はいはい、惚気は聞きたくないのでもう角名にゃん上がってええよ。もうどうせ他の席に着く気ないやろ?」
「ない」
「じゃあもういらん」
「むっちゃ辛辣やん」
「ラッキー。着替えてくるからもうちょっとここで待ってて。ココア持って来るよ、俺奢るから。じゃあ」

スマートに私の好きなココアを奢ってくれたので、お言葉に甘えていただくことにした。

「お待たせ、じゃあ行こ。お金はもう払ってるから」
「ほんまに?ありがとう!ごちそうさまでした」

友達に手を振りながら4組を出ていく。教室を出た瞬間に倫太郎くんは私の手を掴んで、サラッと恋人繋ぎをした。

「あれ、そういえば倫太郎くん制服やん。持ってたん?」
「あ、これ佐竹の。アイツ午後猫してるから借りるわーって言って着た。佐竹が1番清潔感あったから助かったよ」
「あははっ、他の子清潔感ないんや」
「制汗剤とかやる時とやらない時ある奴ばっかだから信用してない」
「判断材料おもろいね」

いつもと同じような会話をしながらいろんなクラスを回った。2年のクラスでクレープ屋があったから行くと、店番に見覚えのある男の先輩がいた。

「お、角名やん。あと彼女さん…やんな?」
「北さん、お疲れ様です。そうですよ。ギャル設定だったからいつもと顔全然違うんですよ」
「あ、あの時の先輩ですよね。あの時はほんまありがとうございました。ちゃんとお礼できてへんかったのが心残りで」
「気にせえへんくてええよ。律儀な子やな。あ、注文どうするん?」
「俺チョコバナナで」
「私はいちごカスタードでお願いします」

了解、と言ってメニューを通してくれる。受け取りの場所で待っているとクレープが来た。学生が作った感満載のクレープだったけど、なかなか美味しくて金額の割に量も多かった。教室を出る際、北さんにお辞儀をすると手を上げて返事をしてくれた。

「北さんって優しい先輩やね」
「部活では結構怖い存在だけどね」
「そうなん?まぁ表情分かりにくい感じはあるけど」

その後も食べ物系や銀島くんのお化け屋敷、侑くんのクラスにも行った。

「なまえちゃんと恋人繋ぎとかしとんなや角名!当て付けか!唐揚げ一個減らすで!」
「えぇ、私唐揚げ食べたかったんやけどな」
「4個オマケしたる!!!!!!」
「侑てめぇ!!!!!!4個はもう倍やアホ!!!!!」

クラスメイトにキレられる侑くんを見て私達も笑った。侑くんは綺麗な顔だけど、飾らないキャラも含めて人気なんやろなと思う。そして本当に4個オマケしてくれて本当にど突かれててまた笑った。

「侑くんほんまおもろいな」
「ね、チョロオタ感が面白い」
「あははっ、CDむっちゃ買ってそう」

もうお腹も満たされ行くところが特になく、誰もいないところに行こうと言ってフラフラと歩いている。体育館は明日使うため、今日は誰も使用していないはずと言って体育館の方へ向かった。

案の定体育館の方向に行くにつれ、人気が少なくなっていく。第三体育館の裏まで行くと人っ子1人いなかった。石段に腰を掛けて2人で座る。遠くからザワザワと賑やかな声が聞こえてくるこの状況が、2人の空間を感じられて堪らなく良い。

「明日の後夜祭、どっかでサボろうよ」
「校内って開いてるん?」
「各教室は閉めてるけど、校舎自体は入れるからどっか探そ」
「ふふ、ええね。倫太郎くん女装コンテストやらへんの?」
「絶対嫌だ」

お互い肩を密着し2人の時間を楽しんでいた。手は握られたままで、倫太郎くんは私の手をサワサワ触っている。

「今だけ俺のシャツ脱いでみてよ」

そう言われたので、素直に倫太郎くんから借りたシャツを脱ぐ。日陰ということもあり肌寒く感じた。

「やっぱめっちゃエロいね。めっちゃシたくなる。さすがにシないけどさ」
「そんなん私が許さへんよ」
「ねぇ、キスしてもいい?」
「…ここでならええよ」

素肌が出てる肩に手を置き、倫太郎くんの綺麗な顔が近付いてくる。始めはバードキスから、その後徐々に深く甘く濃厚なキスになっていく。倫太郎くんの手も肩から背中へ、そして素肌が出てる腰へ移っていく。腰をサワサワと撫でられると、私も気持ちが昂ぶってしまう。体をくねらすと倫太郎くんは気をよくしたのか、服に手を入れて来た。

「倫太郎く、ん、ダメやっ、て」
「少しだけ」

そう言ってキスをしながら下着越しに胸を揉まれる。倫太郎くんのモノが大きくなってるのを感じた。次第に手は私の足へと移ってくる。いよいよ私も我慢が出来なくなってしまう。

「下はあかん、よ、っ私が、我慢できへんくなるから、っお願い」

こう懇願すると倫太郎くんは止めてくれた。その後少しキスを繰り返すと、ようやく唇が離れた。

「ごめん、止まらなくなりそうになった」
「ね、倫太郎くんここで始めちゃったらどうしようかと思った」
「なまえが可愛すぎてエロいのがいけない」
「服はほんまにごめん」

時計を見るとそろそろ戻った方がいい時間になっていた。倫太郎くんはまだ不満気だったけど、その後は素直に教室に戻ってくれた。先に私の服を着替えてお礼を言い倫太郎くんにシャツを渡して、倫太郎くんが自分のシャツに腕を通した。

そうして1日目は無事に終わった。









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