31




準備が進んでいき明日は文化祭当日。各クラス教室内を午後授業を潰してセットを組み立てていく。
うちのクラスも大量のたこ焼き器と看板、食べるスペースを作った。食材は当日の搬入で大量のクーラーボックスだけがバックヤードに置いてある。

早めに準備を終えたうちのクラスは明日の服装等をみんなで話していた。

「なまえと絵麻のプロデュースはかなり最高やから、みんな期待しててな!」

葉月の一声にクラスが湧き上がる。治くんだけは俺に先見せろ!と懇願していたがスルーされていた。

「着る本人もわかってへんからな」
「髪とかメイクはどうしたらええの?」
「髪はとりあえず巻いてきて!メイクは一旦いつも通りでええよ。つけまとか持っていくし、修正あった時用に綿棒とクレンジングも持って行くから。あ、濃いカラコンあったら着けてきて欲しい」

葉月からの要望をメモした。何だかんだ私らも楽しんでいる。

今日は全部活休みのため倫太郎くん達バレー部と一緒に帰る。せっかくやしと言ってボーリングを3ゲーム楽しみ、その後ファミレスへ来た。前に来た時を思い出すと懐かしく感じる。

各々の注文品が届き口にしていく。相変わらずみんな頼む量が多い。

「明日ギャルなまえちゃんと写真撮りに行くわ〜」
「ええよ。たこ焼き3コで写真1枚やけど」
「え、ほんまに?9コ買うわ」
「ツムあほ過ぎやろ」
「誰がアホじゃ、このポンコツが」

今日は文化祭の話題で時間が過ぎて行く。他のクラスの模擬店も面白そうで楽しみだった。

「うちギャルの話し方わからへんのやけど」
「チョベリバ〜とか言うとけばええんちゃう?」
「いつの時代やねん、それ」
「たこ焼き1つまじ感謝〜アゲ〜〜!みたいな感じちゃう?」
「なまえちゃんギャルやったん?完璧やんかわええ!」
「俺なまえの店番の時行けないの悔し過ぎ…」
「俺が動画撮って送ったるで安心せえ」
「侑が直で見るの嫌なんだけど」
「なんて事言うねん!」

いつものように騒がしくなる私たちのテーブル。明日もあるので、今日は早めに帰る事にした。倫太郎くんと手を繋ぎ家の近くまで送ってくれると言ってくれたので、お言葉に甘え送ってもらう。一緒に居たかったし。

「明日服着たら見せにきてね。本当は俺が1番に見たいけど、それは無理そうだから我慢する」
「んふふ、分かった。倫太郎くんの猫も楽しみやわ」
「まぁ張り切ってるのは主に女子だけどね」
「うちのクラスもそうかも。男の子達は適当な感じやったけど、一軍女子達が許さへんくて当日男の子みんなのヘアセットするって意気込んどった」
「なにそれ、すご」

もうすぐで家に着きそうなところまで来たので、ここでバイバイをする。

「明日他校生も来るから気を付けてね。ナンパされても無視だよ」
「倫太郎くんにもその言葉お返しするわ。ちなみに私は葉月が私用に『イケメンの彼氏持ち』って名札作ったらしいで、それ付ける事になってるし大丈夫やと思う」
「本当にあの子面白いね」
「せやろ?信頼できるファン」

そう言葉を交わし、人影がない道で軽く触れる程度の口付けをして別れた。

明日のために夜はしっかりとパックをして、早めに寝る事にした。

翌日、スッキリと起きて鏡を見ると、顔色も肌のコンディションも良く朝から上機嫌だった。いつも通り準備をして、髪の毛を念入りに巻く。ヘアオイルとケープで固め少ししてから軽くほぐして、いい感じにできたと気を良くした。

学校に着くとおめかしをした女子といつも通りの男子がほとんどもう登校していた。うちのクラスはみんな準備があるから早く来いと召集されている。

「え、葉月今日修学旅行にでも行くん?」
「ちゃうわ!自分となまえの服とコテとかメイク道具とかその他諸々準備したら、海外旅行用のキャリーにしか入らなかったんや!」
「お疲れ様。葉月には今日いっぱいお世話になるでこれあげる」

学校来る途中のコンビニでお菓子やデザート、ジュースを適当に買ってきた袋を渡すと、葉月は大層喜んでくれた。

「ホス狂いが貢いじゃう理由がわかる気がする」
「なんで?」
「たまにあるプレゼントの威力は絶大ってことや」

そう言ってコンビニのビニール袋に「食べたらコロス by葉月」と油性ペンで大きく書いていた。

その後、男の子達のヘアセットをし始める一軍女子達と、私と絵麻を仕上げるファン2人。

先に着替えてと言われバックヤードで着替えるとまぁ露出は多く、倫太郎くんに怒られへんかなと心配になった。黒のヘソ出し丈でタイトめのオフショルに黒のレザータイトミニスカート。ちなみに絵麻は谷間ギリギリのタイトミニ丈白ワンピ。2人とも足元は厚底ショートブーツ。

「なまえむっちゃ肌出とるけど角名くん絶対怒るやろ、それ」
「いやいや、絵麻のそれも絶対治くんキレるで」
「露出の割合は圧倒的になまえの方がやばいけどな」

そう言いながら2人の元へ戻ると目をハートにさせ、最高やんとご満悦そうだった。絵麻は治くんに服だけ見せに行くと言って凛華とバックヤードを出て行った。

私達はそのままバックヤードでメイクをする事にした。葉月は「アイメイクだけギャルっぽくさせるわ」と言い、彼女は手際良くメイクを進めて行く。

「待って、うち天才すぎん?いや、元がええからか。いや、ガチ可愛すぎる。これ店番して大丈夫か?男どもえらい事になるで」

終わった、とも言わずに矢継ぎ早に言葉を並べる葉月。恐らくメイクが終わったらしく、葉月は大満足そうだった。まだ鏡を見てない私は自分の顔がどうなってるかわかっていない。続けてヘアセットをすると言われたのでまだ自分の顔の確認はお預けだった。

「髪いい感じに巻けてるで前髪だけ片方に流す感じにするな」
「うん、プロデューサーにお任せする」

5分ほどで完成したらしく、これまた大褒めの言葉をくれた。

「ナチュラルメイクもええけど、たまに見る濃いメイクの破壊力えぐいな。結婚して欲しい」

そう言ってようやく鏡を見せてくれた。そこに映る自分は、本当に別人のような顔で少し違和感がありつつ新しい自分が見れて楽しかった。

「なまえちょっと待っとって。隣のクラスから角名くん連れてくるわ。こんなん最初に見せてあげな可哀想すぎやから」

そう言うと葉月は私の返事も聞かずに4組へ飛んで行った。少しすると葉月と一緒にバックヤードへ来た倫太郎くん。私を見ると同時に目が点になった。

「どう?うちの最高傑作なんやけど」
「え、まってこれで店に立つの?」
「当たり前やん、客寄せパンダや」
「えーーーーーーーーーーーー。ダメでしょ」

倫太郎くんの好みじゃないのか、今のところ褒めてくれる言葉は出てきてない。倫太郎くんはナチュラルな方が好きなんかな、と思ってしまった。

「えー!むっちゃかわええやん!」
「可愛すぎ、あと露出しすぎ。絶対変な目で見られる。俺の前だけならいいけど、他の男にこれは無理」
「でも他に服ないで?」
「じゃあ俺のシャツ上着みたいに羽織ってよ」

そう言ってその場で着ていたシャツを脱ぎ出すして半裸になる倫太郎くん。

「ちょ、倫太郎くん!?倫太郎くんはどうするん?」
「俺はなんか猫のモコモコの着るからいい。本当はシャツの上から着るつもりだったけど、もうそんなん関係ない。本当はヘソも隠して欲しいけど、ボタン閉める方がエロくなるからもう仕方ない」

そう言うと私に制服のシャツを無理やり羽織らせる。かなりブカブカで彼シャツ感満載のコーディネートになった。

「角名くんすごいな」
「もう、露出少なめってオーダーしたのに」
「ごめんってー。これでも控えたんやで?ほんまは胸元だけくり抜かれてて谷間強調されてるトップスとか、童貞を殺すワンピースとかも考えてたんやから」
「そんなのにしたら普通にキレてるよ」

葉月と倫太郎くんが目の前で若干言い合いをしてるのを私は静かに傍観してた。彼氏持ち名札作ってきたから許してや〜と笑いながらバックヤードを出て男の子のヘアセットに混ざって行く葉月。

「倫太郎くんごめんね。ほんまに知らんくて」
「俺ももっと強くあの子に言っておけば良かった。もうー、こんな姿誰にも見せたくない。可愛すぎる」
「ほんま?よかった」
「良くないよ。絶対シャツ脱がないでね」
「もちろん。倫太郎くんにギューってされてる気分になって幸せやなって考えてた」

そう言って笑うと、倫太郎くんは抱きしめてくれた。

「なまえのこの服俺買い取ろうかな」
「え?なんで?」
「今度この服着てシよ」
「なぁ!ここ学校やから!」

そんな話を抱きしめながらしてるとバックヤードに人が入ってきた。私と倫太郎くんが物音の方を見るとそこには治くんがいた。

「え…っと、何から突っ込めばええん?」
「何にも突っ込まなくていいよ」
「いやいや、なんでお前上裸やねん。そんでこんなとこでイチャつくなバカップルが」

そして治くんに倫太郎くんがシャツを貸してくれた事を話すと、大きな声で「それや!」と言い絵麻の元へ走って行った。治くんも絵麻の服を見て不満やったんやろな、と感じ取った。

「俺も準備あるから戻るね」
「うん。シャツ、また返すね」
「午後も着てて。俺部活のジャージとか着とくから」

そう言うと短めの口付けをして帰って行った。
バックヤードから上裸で出て行く倫太郎くんは、クラスメイトから「裏で何してたんや!」とそう突っ込みを喰らっていた。









BACK
TOP