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文化祭の帰りに後夜祭のことを聞くと、なかなかに面白かった。ちゃんと見に行った絵麻に侑くんの女装写真を見せてもらった。

「アツ子ちゃんむっちゃ似合っとるやん」
「守ってくれそうな女の子だね」
「赤ちゃんの頃からハンマー投げしとった肩しとるね」
「2人とも笑っとるやないか!これでも準優勝やぞ!!」
「侑の人気投票でしょ、圧倒的に。こんな肩幅の女の子怖くて嫌だよ普通」
「せめて足隠せや。ツムの足ゴリゴリの筋肉やん」
「優勝の子と比べると、か弱さゼロでおもろかったわ」

侑くんは誰も褒めてくれへん!と嘆いていた。いや、こんなん笑うしかないやん。

「そういえばサプライズステージでなまえ告られとったで」
「え?そうなん?」
「まさかの告白される側の本人不在でえらい空気になっとったし、これどうするん?みたいな空気が続いて全員気まずかったわ」
「面白いじゃん。で、なまえに告った勇者はどこの誰?」
「角名の顔やば」
「2年の先輩やなかった?バスケ部の」
「えー、行かんくて良かったわ」
「とんだ悪魔やな。ほんま見てられへんくらい可哀想やったんやからな」
「ほんでそこのバカップルはどこでサボってたん?」
「3階の資料室」
「うわ、なんか誰も来なさそうなところ選んでるあたりエロいな」
「角名ムッツリやからしゃーないやろ」
「宮双子うるさいよ」

そんな話をしながら皆んなで帰る。倫太郎くんはいつもの如く家まで送ってくれるそうで、途中で皆んなと別れた。

「文化祭も終わっちゃったね」
「ほんまにね、あっという間やな〜」
「俺らは今から春高に向けて部活漬けになりそう」
「そっか、確かシード枠やったよね?」
「そう、3年の先輩もまだいるから俺出れるか分かんないけど」
「そうなんやね。チア部も応援行くから、倫太郎くん出たらむっちゃ応援しとく」
「ありがと。他校から稲荷崎のチア部可愛いって言われてた」
「うちの部かわええ子多いから」
「なまえ以外の子分かんないや」

あっという間に家の近くに着く。倫太郎くんとの時間がこれから少なくなると思うと急に寂しく感じた。もう少し一緒にいたいと思って、倫太郎くんの制服を少し掴む。

「少し、公園で話さん?15分くらいとか」
「…何?別れ話なら聞く気ないよ」
「ちゃうって!そ、その、バレー部部活忙しくなるし、最近一緒におる事多かったから離れるのが寂しくなっただけやねんけど…」
「なんだ、ビックリした。俺なんかしたかと思った。全然いいよ、夜も遅いし少しだけね」
「私のワガママやのにごめんね。ありがと」
「なまえのワガママ何て滅多にないから嬉しいよ。可愛いワガママだし」

倫太郎くんとそのまま近くの公園に行って、自販機で温かい飲み物を買ってベンチに座った。

「部活忙しくなるけど、電話もしたいし昼休みも一緒にいれるならいようよ。俺だってなまえ不足になったら、部活のやる気もなくなるし」
「ええの?倫太郎くんのバレーの邪魔にならへんのやったら一緒におりたい。電話やってできるならしたい。けど、倫太郎くんの休息第一にしてや?」
「わかった。じゃあ明日から昼休み一緒にいよ」

絵麻と治くんも誘おうかとなったので、明日からは4人で過ごす事になりそうだ。放課後に会えない分、学校で時間をとってくれる事に嬉しくなった。

「なまえって確かそろそろ誕生日だったよね?」
「確かにもうすぐやったわ」
「誕生日は少しでも時間作りたいと思ってるから」
「ほんまに?嬉しい。忙しい時やのにありがとね」

再来週は私の誕生日だったのを、倫太郎くんの会話で思い出した。忙しい時に申し訳ないけど、少しでも会えるなら嬉しい。

それから少し話して、私達は家に帰る事にした。

「ワガママに付き合ってくれてありがと」
「こんな可愛いワガママならいつでも聞くのに」
「ほんまに?じゃあ甘えちゃお」
「うん、むしろもっと甘えてよ。なまえなら大歓迎」

倫太郎くんと家の前で別れ、見送ってから家に入る。倫太郎くんにはいつも甘えてるのに、これ以上甘えても大丈夫なんかなと不安にもなりつつ、彼本人が甘えてくれなんて言うもんだからいいのかなとも思ってる。

明日からさらに寒くなると言うテレビのお天気お姉さんの声を聞きながら、お母さんの作った親子丼を食べた。








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