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言ってた通り俺は部活で毎日忙しい日々が続いていた。お昼は一緒に過ごすものの、2人でゆっくり出来る時間はなかなか作れなかった。
チア部も春高の応援や大会に向け練習量は増えているみたいで、なまえも部活に励んでいるようだった。
そして最近、俺は何故か告白されることが増えた。部活前に急に呼び止められたり、朝練後に待ち伏せされていたり。もちろんなまえがいるから全て断っている。そんな今日も部室に向かう途中に呼び止められ、渡り廊下の隅に移動した。
「あの、前から角名くんが気になってました。よかったら友達からでええから仲良くしてくれませんか?」
「えっと、ごめんね。俺大事な人がいるから」
「…まだなまえちゃんの事が諦められへんとか?」
俺は耳を疑った。何故かなまえと既に終わっているような言い草に頭が混乱した。確かに学校で接する時間はかなり減った。最近は昼休みもバレー部のミーティングがあったり、練習まみれで疲れていたため教室で1人で飯食った後寝ていたりと、顔を合わせない日もあった。けど昨日も俺となまえは電話したし、来週の部活休みの日には約束のペアリングを買いに行く予定もある。諦めれないってなんの事だかさっぱりだった。
「え、諦めるって何の事?」
「へ?角名くん、なまえちゃんと別れたんやないの?」
「………はっ!?何それ、誰情報!?」
「えっ、と、クラスの子から聞いたんやけど、ちゃうかったん?」
「全然ラブラブ!変わらずに大好きだけど!?」
「あ、そ、そうなんや」
勢いよく俺が宣言すると、目の前の女の子が引いていたけどそんなのはどうでもよかった。その噂、誰が何のために流した噂なのかが気になって仕方なかった。
「最近2人一緒に見かける事あらへんかったからそうなんやって信じてもうたわ」
「最近お互い部活忙しかったりしてたから」
「そうなんやね。別れたって噂結構広まってるで、なまえちゃんもいっぱい呼び出しされてるんちゃう?」
「……え」
「今までは角名くんおったから言わへんかった男子いっぱいおるやろうし、なまえ ちゃんモテモテやから別れたなんて聞いたらそりゃ狙うやろ」
「まじか…」
「シャキッとせなあかんよ。…ま、うちも角名くんのなまえちゃん大好き宣言聞いたら吹っ切れたわ」
忙しい時にごめんな、部活頑張ってやと言って彼女は立ち去って行った。俺はさっき聞いた噂話が頭から離れず、なまえも告白されてるのかなとすごく焦ってしまった。
部室へ向かうと練習着に着替えてる部員で溢れていた。
「角名また告られたんか〜。あの子テニス部でかわええって言われてる子やん」
「そうなの?知らない。侑と違って女の子に興味ないし」
「誰が女たらしや」
「そこまで言うてへんけどな」
正直さっきの女の子は全く知らなかった。何組かも知らないし見た事もない。他の人からすると可愛いと思う子も、俺からしたらただの普通の同級生。申し訳ないけど何とも思わなかった。
「ねぇ、俺となまえが別れたって噂流れてるらしいんだけど知ってる?」
「え、そうなん?」
「別れたん!?角名達別れたん!?」
「噂っつってんだろーが」
「ツム喜びすぎやろ。必死すぎておもろいな」
「サム表出ぇ!!!!」
侑達は知らなかったらしい、けど近くで聞いていた同級生が話に入ってきた。
「俺その噂聞いた事あるで。クラスの女子が騒いどったわ」
「お前何組やったっけ?」
「俺6組。俺の友達もみょうじさん狙っとったから声掛けに言ってたで。別れてなかったんやな」
「別れる気もないよ。ハァ、学校で一緒にいないだけで別れた事にされんの面倒くさいね。ラブラブだっての」
「その噂流したの誰なんやろな。角名好きな人かなまえちゃん好きな人やろ、どうせ」
「噂流すのなんどうせネチっこい女やろ、どうせ」
噂はただの噂だし別にいい。けど内容がどうも気に入らなかった。イライラしてしまって今日の練習は調子が悪く、先輩にも軽く心配された。
部活が終わり、帰ってからなまえと話がしたくて電話した。お互いに労いの言葉を掛け合いすぐに本題へ移る。
「なまえさ、最近告白されてない?よく呼び出されたり」
「え、知ってたん?全部断ってるし変に不安にさせるかもと思って言ってへんかったんやけど、ごめんね。ほんまにやましい事とかは無いねんけど、倫太郎忙しいし言わへんくてもええかなって思って…」
どうやら告白されてる事を報告してないと咎められてると勘違いしたらしく、なまえはしおらしくなっていた。
「ごめんごめん。怒ってないよ。大丈夫だから。俺も実は最近呼び出されて告白される事少し増えてさ」
「もしかして噂の事?」
「なまえ知ってるの?」
告白相手から聞いていたのか、まさかのなまえは噂の事を知っていたようだった。
「告白された時に彼氏おるからごめんなさいって言うたら、角名と別れたんちゃうの?って言われて。全力で否定してんけどなかなか噂って鎮火しないんやね」
「そうなんだ。俺も今日その事知って否定したんだけどさ。学校で一緒にいるところ見かけてないから信じたって言ってた」
「もうお昼ご飯どっちかの教室で食べへん?なんか別れたって思われてるの嫌やから」
「そうだね。教室でチューしよっか」
「コラ」
なまえも俺と同じく噂の事をよく思っていなかったみたいだった。前までは中庭の端で治と結城さん一緒に食べていたけど、明日からは3組か4組の教室で食べる事にした。これで噂も落ち着くだろう。
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