小さなブラウン管の中。
オレンジのコートに映える黒いユニフォーム。
目が回りそうな程飛び交うボールと息つく間もなく跳び跳ねる選手たち。
たまたまチャンネルが合わさっていただけだったのに、いつの間にかテレビから目が離せなくなっていた。
バレーに然程興味のなかった私でも、スパイクが決まると興奮して騒いだ。
カッコいい!
まるで巨人のように大きな人たちの中に混じって跳び跳ねる、小さな人。
その人が大きな人たちを振り切ってボールを相手コートに叩き込むたびに、私はテレビに近づいていた。
小学生の私からみれば、その人でも十分大きな人だった。それでも、ブラウン菅の中にいるその人はとても小さく見えた。
他にも凄い選手はたくさん居たはずなのに、私の目は黒いユニフォームの10番を捉えて離さない。
離れて見なさい、という親の声も聞かずにじっと見つめる。
やばい、すごすぎる!幼なじみのお兄ちゃんよりカッコイイ!と大はしゃぎする私。
今度は暴れて見えないからとテレビから引き剥がされた。
――小さな巨人
実況の人が言った言葉は、私の胸に広がって染み渡る。
沸き上がる歓声、画面越しに伝わる熱気。
その日から私は、”小さな巨人”の虜になった。
プロローグ
(小さな巨人、私の初恋の人)
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