みじかいおはなし
SSだったり会話だったり


書類を棚へ戻すため腰を上げる。ふわり、少し開いた窓から何かが舞い降りた。
「桜?」
「うん。近くにないのにね」
近侍がこちらを向く。花びらをつまんでみせた。
「お花見したいな」
「行く?桜の名所とか」
「無理。今は忙しくて出かけられない」
机の上に飾る。一枚だけのそれでは、花見にはなるまい。
「……別に"今"、"花見"じゃなくてもいいんだけど」
「どういうこと?」
聞き返した先、彼は答えない。はぐらかされたものはきっともう教えてくれないのだろう、そう思ったが。
「いつだっていいんだよ。桜でも紅葉でも、それ以外でも何だって」
今行かなければ桜は散るし、秋まで待たねば紅葉は見れない。
ふわり。もう一枚花びらが舞い込む。
「一緒に行けるなら、なんだっていいの」
今度は彼が花びらをつまんだ。