書類を棚へ戻すため腰を上げる。ふわり、少し開いた窓から何かが舞い降りた。
「桜?」
「うん。近くにないのにね」
近侍がこちらを向く。花びらをつまんでみせた。
「お花見したいな」
「行く?桜の名所とか」
「無理。今は忙しくて出かけられない」
机の上に飾る。一枚だけのそれでは、花見にはなるまい。
「……別に"今"、"花見"じゃなくてもいいんだけど」
「どういうこと?」
聞き返した先、彼は答えない。はぐらかされたものはきっともう教えてくれないのだろう、そう思ったが。
「いつだっていいんだよ。桜でも紅葉でも、それ以外でも何だって」
今行かなければ桜は散るし、秋まで待たねば紅葉は見れない。
ふわり。もう一枚花びらが舞い込む。
「一緒に行けるなら、なんだっていいの」
今度は彼が花びらをつまんだ。
きみの夢をみた
白いワンピース姿は最後にみた時よりも幼くみえた
きみは軽い足取りでスカートを翻し、ちょっとした段差を飛び降りる
まぶしくってよくみることのできない笑顔
お気に入りだと言っていたのを思い出した
ああ、今年も、盆がきた
「死んだら人はどうなるの?」
あどけない顔の審神者がこちらを振り向いて言う
「さあ、おれにもわからんなぁ」
「神様にもわからない?」
疑うような目をする彼女に、白い白い腕を伸ばした
「神様も万能じゃないのさ」
まだ不思議そうな顔をする人の子を、真っ白い神様は控えめに笑って見つめる
伸ばした腕は、審神者に触れることなく下ろされた
万能なんかにゃほど遠い 今だって、ほら、