※付き合ってからのお話。
※寮生活をしています。
2月。爆豪の部屋でゲームでもしに行こうと思ってヒーロー科の寮へ来てみたら、共有スペースで女子達が騒いでた。
「あ、絵藤くんやー!いらっしゃいー!」
「おー麗日、何してんのそれ?可愛いな」
俺に気付いた麗日が声を掛けてくれた。けど、頭には見慣れない白いもふもふが。
「今日は猫の日なんだよ!可愛いでしょ!」
もふもふのピンクの猫耳を着けた芦戸がドヤ顔してるんだけど、なんだこれ。皆可愛すぎんだろ?
共有スペースに集まってる女子は皆色んなカラーの猫耳カチューシャを着けてた。たぶん、それぞれのイメージカラーとかに合わせてるんだと思う。
「絵藤ちゃんも着けましょう、きっと似合うと思うわ」
「いや俺はいいや蛙吹……。これ皆で買ったのか?」
「私が作りましたのよ!皆さんのイメージで!」
猫耳着けてドヤ顔してる八百万にこんなに和む日が来るとは思わなかった俺だ。そうか、八百万の個性何でも作れるんだっけか。あー……、なる、ほど?それなら。
「誰か紙とペン無い?」
「ノートならあるよー、シャーペンと」
「ん、貸して」
カチカチ、と芯を繰り出してノートに落書きをしていく。描き上げる頃には、覗き込んでた女子達の目が輝きまくってたからちょっと自慢げになってしまう。
「八百万、これのがぜってぇ可愛いからこっちしようぜ」
「うぅ、絵藤さん……!なんて素晴らしいんですの!早速作りますわ!」
ぴら、とノートから千切ったデザイン図を八百万に渡せば、めちゃくちゃ張り切ってくれてデザイン専攻冥利に尽きる。日本語おかしいのは自覚あんよ。悔しいけど、まだデザイナーとは名乗れないからな。
「ふぅ、出来ましたわ。渾身の出来です!」
額の汗を拭う様なポーズをして、出来上がったものを俺に差し出してきた。ん、や、俺?
「女子用に考えたから俺いらねんだけど?きめぇだろうし」
「いいえ!絵藤さん用にしっかり改良して作りましたから、問題ありませんわ」
なんでー……。
ぷりぷりしてる八百万は可愛いし、折角作ってくれたからには受け取らずにはいられなかった。断る勇気ねぇや……。
女子全員分も作ってそれぞれ渡し終えた八百万は、では皆さん着替えて集合してくださいね、とか言って早足で自分の部屋に着替えに行った。
おれ、も、着替えなきゃいけない流れ……?
誰も居なくなった共有スペースで1人、自分で考えたもん持って立ち尽くす。まぁ、見られて困るもんでもないし此処で着替えるか……しょうがねぇし……。
適当に着てたTシャツの上から羽織ったパーカーはフードに猫耳が付いてて、ジッパーには大きめの鈴。ズボンは膝丈の短パンで、尻には猫の長い尻尾…可愛いかなと思って黄色のリボン付き……。ちなみに、ちゃんとピンと立つ様に柔らかめのワイヤー入りだ。肌に優しいタオル地で可愛さもアップ。ってか。
……うん、恥っず!!!!!!!
可愛さ重視で長めにデザインした萌え袖がさらに恥ずい。誰だこんなデザインにしたの!俺だ!!クソ!!
デザイン図描いた時は女子用に、可愛いと!思って!ショートパンツにしてたから、俺用に改良したってのは膝丈にしたとこか。八百万、そこはめちゃくちゃ評価するぞ。
フードを被って、女子達の帰りを待つ為にどかっとソファに座った拍子にリン、と首元の鈴が鳴った。なんか、これ、俺だけだったらただ俺が変な格好してるだけじゃねぇか。
尻尾の形を弄ってたら、ピロピロ携帯が鳴った。電話?
「ぅげ、爆豪……」
そういや部屋行くって連絡してたわ。これやべぇんじゃねぇかな怒ってそう。
「も、もしもしー」
「てめぇ今どこだ」
あ、やっぱり怒ってらっしゃいますね。連絡してから遅くなったし、心配かけちまったな。
「んー、1Aの共有スペースには来てるんだけどさー……あ。」
「あ?……………何してんだ」
電話越しじゃなく、同じ空間に爆豪の声が響いた。ぎゃー見つかってしまった!これは!やばい!色々!
「にゃ、にゃー?」
左手に持ってた尻尾をぷらぷら振りながら鳴いてみた。けど、爆豪は耳にスマホ当てたまんま固まってる。苦しい、なんだこれ。黙ってないでなんか言え。頼むから。
「……は、良い度胸だてめぇ犯し殺したる」
凶悪な顔で笑いながら言った爆豪はずんずんとこっちに歩いてきて、勢いのままガッと肩に担がれた。
やば、やばい煽ったなこれ!ちょっと前の俺反省しろ!
「うわああごめん今のなし!待って!待てバカツキ!ちょっ、やめろ尻揉むな!」
「煽ったてめぇが悪ぃ」
「俺!何も悪くねぇだろって!?」
「クソ可愛い恰好してんじゃねぇよアホ海人が、俺を待たせやがった罰だ大人しくしろや」
部屋に連行された後はお察しの結末だった。爆豪こわい。
とりあえず、ねこの日なんか無くなっていいと思った一日だった。
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