依頼






「人探し?」



こくりと揃って頷く目の前の似ていない双子にみんなで顔を見合わせる。
片割れはうちのクラスの坂本美桜。もう片割れは隣のクラスの坂本陽。髪の色から違う彼らは、本当に双子なのか疑わしい。まあきっと、どちらかの親が金髪でそれが陽くんに遺伝しただけだろう。揃いの灰がかった青い瞳は唯一双子と判別できる。…そういえばこの色、どっかで見たような…



「まずは詳しく話を聞かせてもらいましょう」
「パパを探して欲しいの」
「パパ?」
「うん。お母さんが悲しそうだから」



坂本兄弟は片親だったのか。ママってことはシングルマザーか。もしかしたら男親の方は日本人じゃない可能性もあるな。金髪に灰がかった青…ん?



「何か手がかりはあるの?」
「…名前が、れいさんって人」
「……それだけ?」
「…それしか分かんないの」
「名前しか手がかりが無いなら難しいわね」



灰原の一言にしゅんとしてしまった2人を慌てて歩美が慰める。確かに名前だけだと探すのは難しいというか、無理だ。れい、なんて名前も珍しいわけじゃないし。いつもなら乗り気の皆も手がかりが無さすぎて困ってしまっているようだ。



「お願い、探偵さんは雇えないし、警察行ったらきっとママを呼ばれちゃうから」
「お母さんにバレないように探して、会わせてあげたいんだ」
「…美桜ちゃん達はパパさんに会いたいと思わないの?」
「別に、僕と美桜は会いたいわけではないよ」
「本当はママのこと悲しませてるから会わせたくない。でもママ、よく私達に隠れてれいさんって言いながら泣いてるから」



顔を見合わせてぎゅっと手を握る双子に、元太、光彦、歩美は同情的だ。コナンくん、と縋るようにこちらを見られて、大げさにため息をついた。



「わーったよ!でも、俺らだけじゃ無理だから安室さんにでも相談してみっか」
「そうですね!」
「じゃあこれからポアロ行こうぜ!」



さんせーい!と明るく重なった声にため息を吐けば、灰原に肩を叩かれた。他人事だと思いやがって。



「美桜ちゃんと陽くんはお母さんにちゃんと連絡しとけよ」
「うん」
「私が電話する」
「あ!ずるいぞ僕がする!」



美桜ちゃんが取り出した携帯を奪おうとした陽くんの顔を押しのけて器用に操作して耳にあてる美桜ちゃんに思わず苦笑する。日常茶飯事なんだろうな。てか二人とも母親のこと好きすぎるな。このぐらいの年頃の子供ならこんなもんか?



「あ、もしもしママ?今日ぽあろって喫茶店にお友達と行くね」
「心配しないでねお母さん、暗くなる前に帰るから」



携帯を間にはさみながら電話口に向かって話す二人。向こうの声は聞こえないけど、二人の表情を見るに悪い返事ではなかったのだろう。楽しそうに話す双子を見て、ワクワクした様子を隠さない歩美達を見、灰原と顔を見合わせてお互い肩を竦める。まあ元太は話を聞くよりもポアロで何か食べることに意識が行ってんだろうな。











「こんにちはー」
「あらみんな。学校終わり?」
「そうなの!」
「腹減ったぜ〜」
「ふふ、おかえりなさい。ちょっと待っててね」



梓さんに案内されてカウンター前のテーブル席に座る。灰原は博士のご飯を作らないといけないと言って帰ってしまった。
メニューに釘付けの歩美達とは対象的に、坂本双子は店内をきょろきょろと見回して落ち着きがない。初めて来たところならそうなるか。特に小学生なんて何にでも興味がある時期だしな。
注文するメニューを決めたらしい3人に俺はアイスコーヒーと告げて、カウンターを背に座る双子の後ろを見てみる。どうやら安室さんは居ないらしい。



「安室なら買い出ししてから来るから少し遅れてるの。お砂糖が切れそうなのに発注されてなくて」
「そうなんだ」
「安室さんに用事だった?」
「そうなの!」



テーブルのそばまで来て注文を受けてくれた梓さんは、