始業式で根津校長が言ったヒーローインターンについて。体育祭で得たコネクションを活用してインターンに参加するらしい。
 職場体験ではベストジーニストに指名されたが、彼は今休業中である。体育祭に参加していない円は彼以外の指名を受けていないし、寧ろ彼の指名が入ったことが異例である。
 警備の都合でベストジーニストのお見舞いに行けなかった代わりに、連絡先を交換している。時折見舞いの言葉を送っているし、先日は仮免試験の結果も報告している。丁度祝いの言葉が届いたところだったので、返信ついでにインターンについて聞いてみることにする。


 返信を貰えないまま三日が過ぎ、緑谷が謹慎から明けた。そして、ヒーローインターンについて、雄英を牽引する三年生三人、通称ビッグスリーが講義にやってきた。いわゆる生の声というやつだ。
 期待が大きかった分、裏切られた失望も大きい。三人とも自由人過ぎて常人にはついていけなかった。ゼント?と聞かれて前途多難が出てくるほど、みんなのコミュ力は高くなかった。
 それからあれよあれよという間に、遠形ミリオと戦うことになった。


 通形は開始早々、なぜか全裸になった。しゅん、と消えたかと思うと、近接帯の包囲網を抜けて、遠距離型から仕留めていく。動きに無駄がない。
 円は瞬時にセンサーを展開する。センサーに引っかかればオート攻撃がなされるはずだが、目の前に現れた時には腹パンを食らっていた。

「ハハ、ビリっと来たよ!」

 あっという間に遠距離組を一網打尽にすると、近接型もあっさりとノシてしまった。通形の個性は透過で、たくさんの工程と技術を詰め込んで、強くされていた。その学びを得たのがインターンだそうだ。ヒーローインターンはお客様ではなく、一人のサイドキックとして扱われる。人の死すら見るそれは、恐怖も辛酸も一線級の経験だと。


 雄英教師陣は、一年生のヒーローインターン参加に否定的だった。安全面の不安が強かったが、その優しさが仇となることも分かっていたようで、インターン受け入れ経験の実績の多い事務所に限ってGOサインが出た。

「私は休業中なのでインターンの受け入れはできない。ただ、神野の一件で君に使われた薬物が気になっていてね。薬物犯罪に明るいヒーローがいるから、紹介しよう」

 ベストジーニストからのメールだ。代理のヒーローの元で学び、かつその学びを共有せよとのことだ。どうせベストジーニストのことだから、守秘義務云々については、紹介の時に許可を取っているのだろう。
 週末、円は大阪に向かっていた。切島がなぜか同じルートを辿るので、まさかとは思ったが、インターン先が同じだったのだ。切島の職場体験先は任侠ヒーローフォースカインドで、インターンの受け入れが出来なかったはず。そこで切島が目を付けたのが、ビッグスリーの一角、天喰だったらしい。天喰に熱血アタックをして、口説き落としたそうだ。

「せやからここらのヒーロー事務所も武闘派欲しがっとんねん。レッドライオットくん適材やで」
「ファットさん私は〜?」
「おぉー!ワークリッド君もベストジーニストの推薦だけあって強いで!何よりバランスがええ!」

 大阪の繁華街。たくさんの人でにぎわう場所には、その分影も落ちやすい。案の定喧嘩が勃発して、インターン初日から景気がいい。
 敵は四人。別れて逃げようとして、ファットさんが沈ませる。トトロのようなフォルムのお腹に敵が沈んでいく。エッジショットのように体を変化させた敵が一人洩れたが、天喰が仕留めた。
 迅速な活動に賞賛が集まる。切島と円は流れるような連携に、手も足も出なかった。そして、鮮やかな逮捕劇に少し気が緩んでいたのかもしれない。

「あかん 伏せ!!」

 撃鉄が鳴り響いた。天喰が撃たれた後、次いで二発目も撃ち込まれ、円をかばった切島が硬化してはじいた。
 群衆の中から敵の仲間が現れ発砲騒ぎだ。集団パニックが起こる可能性も危惧される。

「確保します!」

 あの鉄砲野郎は三下もいいとこだ。あの程度に負けるヒーローじゃないと、メンチを切ってパニックを制する。
 それと同時に天喰が手を伸ばしたが、なぜか個性が発動しない。その隙に敵が走り出し、円が追跡を買って出て、切島もそれに続いた。

「待て、はやまんな!下手に追うと嚙まれるぞ!サンイーター、無事ならここ任すぞ!」
「無事だけど個性が発動しない!」
「イレイザーでも居んのか!?」

 そんな会話を背中で聞きながら、円は敵を追う。