牙崎漣に餌付け
「おいオマエ」
「ヒエッ!?ハイッ!!?」
普段滅多に呼ばれることのない銀髪の彼に呼ばれ(実際に私のことを呼んだのかは定かではないが、恐らくは私のことである)おっかなびっくりと振り向けば、不機嫌な顔つきで私を睨んでいた。
というか大河さんといい牙崎さんといい、プロデューサーのことをおいとかオマエとかアンタとかどうなんだよ、と思うものの小心者の私は彼の鋭い目つきに震え上がることしか出来ない。
「オレ様になんか食いもん寄こせ!」
「えっ…」
想像していたよりもずっとかわいいお願いでつい間抜けな声が出てしまったが、牙崎さんはお構いなしに差し入れに頂いたたい焼きをかっさらっていく。
「イイもん持ってんじゃねーか!」
「えっちょっそれユニットの分」
「アァ!?ンなもん知るか!全部オレ様の物だぜ!」
そう言って牙崎さんは三人分のたい焼きを吸い込むかのように胃に収めていく。顔面蒼白の私と対照的に牙崎さんの顔は満足気だった。
腹が立つことに口元に餡子が付いていてもめちゃくちゃ綺麗な顔だった。
そうして少年のような表情で私にこう告げた。
「オマエをオレ様食事係に任命してやる!コーエーに思えよ!くはは!」
確実に私の財布が軽くなることが確定し、静かに涙を流した。