人喰い鬼を狩る政府非公認の組織「鬼殺隊」。鬼を狩る力を有する剣士、その彼らを支えるのが我ら「隠」の仕事である。事後処理、負傷者の手当や搬送、一般人の安全の確保やその後の世話や手続き、後はまあ柱の方々の屋敷でお手伝いや身の回りの世話なんかもしたりする。雑用の域を遥かに超える仕事量だが、その多くは剣技に恵まれなかった者や訳ありなど様々である。
必ず最低でも二人で向かうのだが、今回は場所も近く鬼も難なく倒せたとの情報から人手が足りないこともあってか私一人で向かうことになった。何でも任務を終えた隊士が負傷したとか。
同僚の後藤さんに駄々をこねたがまだ年若い隊士くらい一人で運べと放り出されたのだった。
しばらく走り続けていると、頭上で雀がチュンチュンチュンチュン飛び回り出した。なんだこの雀、と軽く視線を向ければどうやらそれは鎹鴉(いや、どこからどう見ても雀だけど)のようで、ついてこいと言わんばかりに飛んで行ったのでおとなしくついていく。
ーー雀を支給されるなんてどんな隊士だよ。
まだ見ぬ隊士に哀れみを抱いていると、少し開けた場所で漸く会うことができた。黄色い羽織を隊服の上から羽織った黄色い頭の小柄なその子は、怪我が痛むのか蹲っている。
「すみません、遅くなりました。負傷されたと聞きましたがーー」
隊士のすぐ傍まで駆け寄って声を掛けると、バッと勢いよく顔を上げた。
男の子だ。私とあまり歳の変わらない、まだ幼さを残した少年だ。琥珀色のまん丸い瞳をキラキラと輝かせて私をじいっと見上げている。
べっこう飴みたいーーそんな安直な感想を頭の中で浮かべながら見つめ返していると、男の子の腕がぬっと伸びてきた。その手は迷うことなく私の腰に縋るように纏わりついた。
「女の子?!!女の子が迎えに来てくれたの?!俺を?!こんなご褒美ってある?!!俺この後死ぬの?!!」
隠の間でちょっとした話題になったことがある。新人の隊士に相当な女好きがいると。決して色男ではない、鼻を膨らませてだらしなく鼻の下を伸ばしながらデレデレと誰彼構わず声を掛けるまだ歳若い少年だと。
ーーこいつか。ふがふがと興奮している少年に冷めた目を向ける。
「ヤダッ!すんごい冷めきった音がビシビシ聞こえてくるゥ!そんなゴミを見るような目で見ないでぇぇえ!!」
「ああ、すみません、つい思ってることが顔に出ちゃいました」
「その謝る気ゼロな