スイートハニー
「好きです」
最初にそう言ってきたのは、彼女の方だった。
だけど今は「愛しい」なんて簡単な言葉じゃ表せないくらい、俺は彼女の存在に救われている。
きっと……いや、絶対に、そんな気持ちは相手に届いちゃいないと思うけど。
どうして届いていないかと聞かれたら、それは俺が悪いんだろう。そんな事を簡単に言えるほど俺はフェミニストでもなければ優しくもない。
だけど時々思うんだ。
彼女は俺のどんなところが良くて俺の傍にいるのか。本当は、もうとっくに良いとこなんか見えてなくて、仕方ないから一緒にいるだけなんじゃないかとか。
よく女子高生なんかが読む少女マンガや恋愛小説には、男は女心を分かってなくて女はいつも苦労して、だけどたまに掛けてくれる男の優しさに惹かれてどんどん好きになっていく、みたいな甘い展開が用意されているけれど、そんなの正直男から言わせれば女も男心なんか分かっちゃいないと思うし、いつも男ばかりがディスられるのには納得がいかない。
つまり俺が何を言いたいかと言うと、『遠距離恋愛をして寂しくなるのも不安になるのも決して女だけではない』ということだ。
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