ハロー名前!
やっと戻ってきてくれたんだね
覚えてる?
昔よくここで一緒に遊んだよね
フフフ…
うれしいな!
久しぶりにまた楽しく遊べそうだ


庭で目覚めた時のこと
今でもよく覚えてるよ
すごく怖かった
手も足も感覚がなくて…
ボクの身体は花の姿になってしまってたんだ!
「父さん!母さん!誰か!」…っていくら叫んでも…
誰も来なかった


そのまま庭で泣いてたらやっと王様が見つけてくれたんだ
だから…何が起きたか説明した…
そしたらね…
名前…
王様はボクを抱きしめてくれたよ…
目に涙を浮かべてさ…
「よしよし、もう大丈夫だよ」って
王様はとても…悲しそうだった
だけど…どういうわけか…
ボクはなんにも感じなかったんだ


ボクは誰と接しても心が動かなくなってた
思いやりの気持ちが消えちゃったんだ…!
色々頑張ってはみたよ
あのバカな王様と来る日も来る日も何か感じようと努力してみた
でもそのうち耐えられなくなって…
ボクは家を出た
そして遺跡に辿り着いて…
そこであの"おばさん"を見つけたんだ
この人ならきっとボクの心を取り戻してくれるって思った

でもダメだった
はは…


あの二人は役立たずだったのさ
そう気づいてボクは本当にがっかりしたよ
ボクは誰を愛したかっただけ…
誰かのことを大切に思いたかっただけ
名前、キミは信じてくれないかもしれないけど…
これじゃもう…
生きてるイミなんて無いなって思ったんだ

愛のない世界なんて…
キミのいない世界なんて…
イミがない
だからね…
ボクもキミの真似をすることにしたんだ
自分の存在を消してしまうことにした
そして…
ボクはそれを実際にやってのけたんだよ


なのにら…
この世に別れを告げようとした瞬間…
突然不安が込み上げてきた
タマシイをもたない存在は…
死ぬとどうなるんだろう…って
その時ボクの中で"本能"のような何かが暴れ出した
「いやだ…ボクは死にたくない!」って

そして目が覚めた
何もかも悪い夢だったみたいに…
ボクは元の庭にいた
じぶんの「セーブポイント」に戻ってたんだ


そこでボクは実験をしてみることにした
何度も何度も自分を死ぬ直前まで
追い込んでみた
そのまま世界から離脱してしまうことはいつでもできた…
でも…「生きたい」というケツイさえもっていれば…
ボクは何度でも復活できた
すごいだろ名前…
ボクもすごいと思ったよ


初めはこの力をいい事に使ったよ
みんなと「友達」になって…
みんなの悩みをカンペキに解決してあげた
みんなと仲良くするのは愉快だったよ
…初めのうちは…ね
だけど何度も繰り返してる内に
先が読めるようになってきた
「これをあげたらこいつは何て言うかな」…
「ボクがこう言ったらこいつらはどうするかな」…
答えが分かってしまったら
それでお終いさ
それ以上は何もない


…全ては好奇心から始めた事だった
こいつらを殺してみたらどうなるんだろう…ってね
「やりたくてやる訳じゃないんだ」って
自分に言い聞かせたよ
「確かめるために仕方なくやるんだ」ってね
ハハハ…
でもそんなのは言い訳さ!
スカッとして気分がいいってこと…
キミは誰よりもよく知ってるはずだ
ま、少なくとも
自分でやらずに見てるだけのヤツらよりはマシさ…
どうなるのか知りたいクセに
自分ではできない情けない連中…
今もきっとそんなヤツらが
ボクたちを見てるんじゃないかな


最近じゃそれすらもタイクツになってきた
ねえ名前
分かるかい?
ボクはこの世界の何もかもを
知り尽くしてしまったんだ
全ての本を読んで
全ての本を燃やした
ミニゲームを全部クリアして
そして全部失敗もしてみた
みんなの願いを聞いて
そしてみんなを殺した
数字も…セリフも…
見たことのないものは一つもない
だけどキミは…
キミだけは違った
名前
キミの行動だけは全く読めなかった


遺跡でキミを見つけた時は…
まだ誰なのか気づいていなかったよ
だから脅してタマシイをとってやろうと思ったんだ
でも失敗しちゃった
だからセーブファイルをロードしようとしたのに…
…できなかった
名前…
キミのケツイは…
どういうわけかボクのケツイより強いみたいだね!


名前
キミに一つだけ聞きたいことがある
ここからどうやって遺跡に戻ったの?
…まって
…こうじゃない?
"おばさん"が出て行った時
亡骸を持って行ったんでしょ?
そしてお墓に埋めたんだ…
だからキミは地下室に閉じ込められたままにならずに済んだんだね
…でもそれならどうして…
キミは目を覚ましたの?
…ボクの呼ぶ声が聞こえたとか…?


ま、そんなことはどうでもいいさ
名前
ボクはもううんざりなんだ
どこへ行っても…タイクツで仕方ない
これ以上花の姿でいることにも耐えられないよ
なまえ
でも一つだけやっておきたい事がある
キミとボクとで始めたことを
きちんと終わらせよう
みんなを自由にするのさ
やつらに思い知らせてやろうよ
ニンゲンの本性をさ!
結局…
この世は「殺すか殺されるか」だってね!


その後…?
そうだな…
この力の使い道はいくつか考えてあったよ
フフフ…

でもここでキミと会って気が変わった
名前…
キミがいてくれたら…
地上で平凡に暮らすっていうのも悪くなさそうだ


それに今回はもう
外に調達しに行く必要もないしね…
タマシイはもう6つ手に入ってる…
王様がどこかに隠してるけどね
ボクもあの手この手で隠し場所を聞き出そうとしたけど…
アイツ、どうしても教えてくれないんだ
でも名前…
キミが頼めばきっと教えてくれるよ


どうしてキミにこんなことを話すのかって?
名前
言ったじゃないか…
あれから随分たったけど…
ボクのことを本当に分かってくれてるのは今でもキミだけなんだよ
キミはボクにくだらない同情なんてしないからね


ボクたちみたいなイキモノは…
相手が邪魔になったら
躊躇いなく殺せる
だから…
だ…だかや…ね…
…ハ…ハハ…
…なんだろう…
…この気持ち…
ボク…
どうして震えてるのかな?

あのさ…名前…
この前のこと怒ってないよね?

え…ちょっ…ちょっと待ってよ!
…く…来るな!


や…やっぱり気が変わった…
これはあんまりいいアイデアじゃなさそうだな
名前、キミは戻った方がいい
この世界は今のままでも
全然悪くないよ!

お、お、お…おい!
そのブキミな顔やめろって!
笑えないよ!
アクシュミだぞ!
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