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苗字 side
阿部「...なるほど。名前様の話を聞く限り、第一王女の"チカラ"というのは...」
苗字「...未来を見る力。その類かと、」
ダムルブルクに襲撃され、城のあちこちから爆炎が上がった。慌てて城へ戻ろうとしたけれど既に周りは封鎖され、名乗っても入れてもらえない。
そうだ、とあの裏口へ走ったけれど、着く前に聞こえたのは母とおねえちゃんを討ったというダムルブルク兵の言葉だった。
私は、おねえちゃんに逃がされたのだ。
後から思えば、不自然に私を裏口で待ち伏せ、城から遠ざけたおねえちゃんの行動は、まるで今から城が襲撃されるのが分かっていたかのよう。
そこではっと気付いた。私は姉から託された1枚の封筒を持っていた。これを開ければ、何かおねえちゃんの思惑が分かるかもしれない、と。
苗字「...それが、これです」
私が阿部さんに差し出した、1枚の便箋。
綺麗な字で、書かれていた。
"言葉足らずの姉を許してね。
貴方は、貴方だけは生き延びて。
この鍵と一緒に、真実を探して。
どうか、可愛い名前に祝福を"
阿部「...この便箋と一緒に入っていたのが、」
苗字「ここ、エルドリア大講堂の鍵でした。姉は、ここに真実がある事を知っていたのかもしれない」
阿部「聡明な第一王女のことだから、何か気づいていたのかもしれないね」
手紙を返した阿部さんはううんと唸ったあと、パン、と手を叩いた。
阿部「...眠くなっちゃった⭐︎」
苗字「は?」
阿部「ほらあ、もう遅いし。難しいし頭使うし、今日はこれでおしまーい」
苗字「えぇ、でもここまでたどり着いたんです。先の動きを...」
阿部「まあまあまあ、」
阿部さんは私の肩を掴むとぐいぐいと寝室として使っている書斎へ促す。
阿部「名前様だって疲れてるでしょ。考えることも多いし、お腹だって空く」
名前「私は大丈夫です!」
阿部「んーん、大丈夫じゃない」
名前「阿部さん!!」
今までこんな無理矢理なことがあっただろうか。背中をポンと押され、見事に書斎に跨いだ私を見て、阿部さんはにっこりと笑った。
阿部「生きているから寝るんだ。寝て起きて、ご飯を食べて...それから考えよう」
名前「...」
阿部「リンドールを救うには、名前様の御力が必要ですから」
おやすみなさい。
そう言って優しく書斎の扉を閉める。
ああ、気を遣わせたな。
阿部さんの影が、もういない姉と重なった気がした。
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