店につく頃には、街は暗くなり
ネオンライトが煌々と光り輝いていた。
店に入るやいなや、なぜ太宰さんが
お茶漬け≠食べないかと限定したのかが
よく理解できた。
目の前には見慣れた二人組と見慣れない
少年が座っていて、
その少年の前にお茶漬けが入っていたであろうお茶碗が三十個程積み上げられていた。
近くにいた店員さんにお茶漬けを一つと
注文すると可愛らしい笑顔で応えてくれた。

「おおー!謡!
遅かったじゃないか〜!
食べ終わってしまったよ〜」

人のお金で夕飯を食べられるということで
ひょいひょいやってきた私が言うのもなんだが
遠慮もなしに満腹食べたのだろう太宰さんが
私に声をかけた。

『...遅くなりました。
独歩さん。お疲れ様です。』

「謡...来るのが遅いぞ。早く食べろ」

独歩さんは優しい。太宰さんと見知らぬ少年に
遠慮もせずに集られたにも関わらず、
後から顔を出した私にもきちんと対応して
くれるのだ。ここは遠慮するべきなのは
わかっているが、有り難く好意をいただくことにする。
そんな私達をきょろきょろして見ている
見知らぬ少年。誰だろう。知らない。
なんだかんだしているうちに私の目の前には
旧き良き懐かしい日本の文化であるお茶漬けが登場した。美味しそうだ。

「...あ、あのう...こ、この人は...?」

おどおどしながら少年は口を開いた。
私は気にせずお茶漬けを啜った。美味しい。

「ああ!こちらは我等が
武装探偵社のひm「会社同僚の小野寺謡だ」」

なにを太宰さんが言おうとしてたのか
想像は着くが気持ちが悪い。

『人の事を聞くのなら、まずは
自らが名乗るのが筋というものでは?』

少し強目に言うと少年は少し萎縮して

「な、中島 淳です...」

「淳くんは私の入水を邪魔した張本人
なのだよ!そして可哀想な孤児だということが先程わかったんだ」

態とらしくしおらしい表情をする太宰さん。

「あの...皆さんは何の仕事を?」

少年...中島 淳は不思議そうに私達を見ていた。

「なぁに、探偵だよ」

「探偵と云っても猫探しや不貞調査ではない
異能力集団武装探偵社≠ニ云えば聞き馴染みがあるか?」

『簡単に言えば、軍や警察の手に負えない
危険な依頼を受ける探偵集団です。』

昼の世界と夜の世界
その間を取り仕切る薄暮の武装集団だ。
こうして自分の身分を人に伝えられる日が
来るなんて数年前は思ってもみなかった。

優しくて懐かしい味のお茶漬けに
少しの名残惜しさを感じながら
最後の一口を啜った。



自分とは
((美味しかった...))
(美味しそうに食べてたな〜、)
(か、可愛いなあの人...)



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