お茶漬けに満足し、食後の焙じ茶を
満喫していると中島 淳が口を開いた。

「え...あ、えっと、今日の調査って...?」

「虎探しだ」

「虎探し...?」

ほんの少しだが、中島 淳は動揺していた。
なにか心当たりがあるのだろうか。

「近頃街を荒らしている人喰い虎≠セよ。
倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり
好き放題さ。最近、この近くで目撃されたのらしいのだけど、、、」

太宰さんが言い終わる前に中島 淳は
とても動揺し、立ち上がり店を出ようとした。

「ぼ、ぼぼぼ僕はこれで失礼しますっ!」

「待て」

中島 淳は少々頭が悪いらしい。この二人を
目の前に逃げられると思ったのか。阿呆だ。

「む、無理だ...!奴に人が敵う筈がない!!」

「貴様...何か知っているな?」

独歩さんは逃げようとした中島 淳を
取り押さえる。流石。動きに無駄がない。

「云っただろう?
武装探偵社は荒事専門だと。茶漬け代は
腕一本か若しくは凡て話すかだな」

...しかし、このままでは取り調べではなく
尋問になってしまうので独歩さんを
少々抑えようと思っていると

「あーあー、
国木田くんがやると尋問になるでしょう?
国木田くん。離してあげなよー。」

私が云おうとしていたことを
私の頭を撫でながら云うもんだから
少々いらいらしながら太宰さんを見ると
にやにやしながら私を見ていた。くそう。

「淳君、それで?」

怯えた様子の中島 淳は自身の知っている事を
話し出した。

「...あ、あいつは僕を追って街までおりてきたんだ!」

中島 淳の話によると、自身が横浜に来た日に
虎もここで現れたということらしい。


「確かに虎の被害は二週間前からこっちに
集中している。それに四日前に鶴見川で虎の目撃証言もある。」

中島 淳の証言と独歩さんの情報から
なんとなく真相が掴めてきたと考えていると
太宰さんは相変わらずにやにやと
私の方を見ていた。
こういう時だけ、太宰さんの考えている事は
私には丸わかりなのだ。嫌になるくらい。

「淳君、これから暇?暇だよね?
...虎探しを手伝って欲しいんだ。」

太宰さんは唐突に、直球で用件をぶつけた。
中島 淳はまた酷く動揺した。落ち着け。

「えっ!??
いっ嫌ですよ!!!それってつまり餌って
ことじゃないですか!!!だ、誰がそんn「報酬でるよ」」

今度は太宰さんが中島 淳が
言い終わる前に切り出した。中島 淳は
あからさまな反応があった。単純だな。

「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」

『...太宰さん、私「もちろん謡は来るよね?」...お供させていただきます。』

ずるいのだ。有無を言わさない聞き方。
私が太宰さんの頼みを断れないことを知っているのだ。ずるい。ずるすぎる。

「じゃあ、行こうか。淳君、謡」

太宰さんはいつもと変わらぬ笑顔で先を歩く。
この後ろ姿をもう何度見たことか。
追いつきそうで追いつかないこの背中を、
私は今日も追いかけているのだ。



お願い心込めて
((断る勇気をください))
(たまには断ってくれてもいいんだけど〜
それはそれでその後が楽しみだし...)
((...なんか悪寒が...))


筆者
(なぜ淳くんにあたりが強いんだ主人公...)


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