00/6月8日 赤口日


赤口日(しやくこうにち・しゃっこうにち)とは、陰陽道の八嶽卒神が支配する日であり、

凶日とされる。

(Wikipediaより参照)




大雨が降る梅雨入り間際の日だった。

母が死んだ。

高校を卒業して、そのままお世話になった高校へわたしは就職した。教員は柄では無かったからサポートをする部署だけれど、高校時代からなりたいと思っていた職業で4月からもう仕事を始めていたのだ。
ついこの間だ。新たに支給された名刺を母に渡した。『おめでとう、立派な社会人だね』なんて、渡した名刺を嬉しそうに眺めていたじゃないか。
殺風景な検死室。真ん中の台に母の遺体が灰色のビニールに包まれていた。母の頭の部分だけちょうどファスナーが開いていた。母の表情は至極、穏やかだ。

「静かに眠れたんだね」

苦しまなかったのなら良かった。良く、生きてくれた。
遺体に手を合わせてファスナーをゆっくりと閉める。
ジ、ジ、というファスナーの閉まる音が一つ、また一つするたびに、母が遠ざかって行くようだった。
パチン。
ファスナーを全て閉め切った。

母の死を『認めた』。

ずるりと。肩越し、背後に白いナニカが見えて振り向いた。
殺風景な検死室。何も無かったその空間を埋めるように居た白く巨大なソレ。おおよそこの世界の者ではない。
驚きなんかしない。わたしは知っている。ずっと知っていた。

次は、わたしの番。

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