無の三拍子 01
其の日、ホグワーツ魔法魔術学校は騒然とした。
11歳以下の人間は居ない筈の学校で、1歳にも満たない子供…いや、赤ん坊が発見された為だ。
3階の廊下で発見された赤ん坊は、一糸まとわぬ姿だった。
そして服の代わりを纏(マト)うかの様に、其の全身は、ねっとりとした粘液の様なものでビショビショに濡れて居た。まるで孵化したばかりのヒヨコの様に。
そして更に奇妙な事は、其の赤ん坊の泣き声だ。
ずっと泣き続けて居る赤ん坊の泣き声は、人間の子の泣き声の其れとは全く異なった。まるで爬虫類が鳴く声にそっくりだったのだ。
直ぐ様、其の赤ん坊は、変身術の教授、アルバス・ダンブルドアの手によって、アーマンド・ディペット校長の元に運ばれた。
赤ん坊が校長室に運ばれた後、生徒達は此の奇妙な出来事について、様々な仮説を立てて話題にした。
『姿あらわしが出来ない学校に、どんな魔法で入り込んだんだろう?』
『誰かが連れ込んだ?』
『御伽噺のコウノトリの様に、梟が荷物として届けたとか?』
『誰かが妊娠して居て、学校で産んじゃったとか?』
『あの赤ん坊は、まるで卵から孵化したみたいだった。だって人間の赤ん坊は、血塗れで産まれて来るものだろ?』
『卵から産まれて来る人間は居ないぞ。だって人間は卵生動物ではなくて、胎生動物だ。』
『あの赤ん坊は、魚類か両生類か爬虫類か鳥類なのでは?』
『でも、人間の赤ん坊の姿だったわ!』
『卵生動物と人間の間に出来た子じゃないのか?』
『いや、どーやって交尾したんだよ;』
『でも有り得ない事じゃないよね?だって、実例が幾(イク)つも有る。』
『だよね。半鳥人のヴィーラと人の間に生まれた子だって居るものね。』
『じゃ、人と爬虫類の間じゃないか?…あの泣き声、聞いただろ?』
『え?誰かの悪戯かもしれないじゃないか。ただの人間の赤ん坊だって。皆、大袈裟過ぎ。』
『産まれたばかりの赤ん坊に、あんな悪趣味な魔法を掛けたって?そりゃ大層な悪戯だぜ、おい』
『だったら、犯人はスリザリンの奴かもな。』
『もしそうなら、酷いわ!あんな赤ちゃんに、そんな魔法を掛けるなんて!!』
暫くの間、生徒達は其の話題が持ち切り状態だった。
授業中や休み時間の間等、先生達に赤ん坊の事を質問する事も多々あった。
しかし、口止めをされて居るのか、先生達は生徒達とは目を合わせず、困った様に、茶を濁した様に、明確で詳しい事は説明しようとしなかった。
『皆さん、ご心配なく。あの赤ん坊は、ちゃんと親元に返しましたから。』
ただ、そう短く告げるのみだった。
しかし、詳しい説明こそなかったが、其れ以降、赤ん坊を目にしたと言う事は、誰1人として居なかったので、赤ん坊は確かに親元に返されたのだろうと生徒達は納得して居た。
(実験室送りにされたとか、消されたかも…と、物騒な事を言う輩(ヤカラ)も居たが、先生達がそんな事する訳ないと、他の生徒に一喝されて居た。)
やがて、徐々に赤ん坊の話題は減って行き、1ヶ月も経つ頃には、スッカリ生徒達の関心は離れて居た。
出 現
And that's all・・・?
(それでおしまい・・・?)
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解せぬ花