ヨモツヘグイ 11
「おい。」
「……」
「おい、起きろよ」
「……んぁあ?」
語尾が上がり調子の、寝惚けた声。
肩を揺さぶられ、##NAME1##は眉根を寄せた。
そして、薄く目を開ける。ぼやけた視界に、ツンツンしたオレンジ色のものがある。
何なんだろう?と、暫く目を凝(コ)らすと、次第に像がハッキリして来る。すると、其れが幼馴染みの頭だと言う事が分かった。染めてるのか?と思う位に見事な色の髪色だった。
「……何か用?」
「何か用、じゃねーよ。」
「あー……?」
##NAME1##はムクリと起き上がり、前髪を掻き揚げる。
幼馴染みを無視し、大きく背伸びをした。そして欠伸を1つ。
幼馴染みは、そんな彼女の様子に、顔を顰(シカ)めて、思い切り呆れた。
そんな様子の幼馴染みを、眠くて座った双眼で、##NAME1##は見遣る。
「朝っぱらから、ガン飛ばさないでよ。喧嘩売ってんの?」
「てめぇにだけは言われたくねー台詞だ」
本人達には、其のつもりが無くても、眉間に幾つも皺を寄せ、ガンを飛ばしてる様に眼付きを悪くするのが、此の2人の日頃からの癖だ。
「つーか、珍しいな。ちゃんと昨日は寝れたんだな」
「は?…10分も寝てたんだ、私。」
「10分!?お前なぁ〜;だから隈子なんて渾名付けられるんだぜ」
「そんなド派手な髪色してるから、不良に思われるんだよ」
「此・れ・は・地・毛・だ!知ってんだろーが。つーか、早く支度しろよ。遅刻すんぞ。」
「やだ、行かない。休む。」
「却下!此処2週間、全っ然、行ってねーじゃねーか!行ーくーぞー!!」
「いーやーだー!!」
布団の引っ張り合い。
「はー…どうしたら行くんだよ学校」
「一護がウズメちゃんみたいに踊ったら行ってあげる。」
「は?ウズメちゃん?誰だそれ。」
「【天岩戸(アマノイワト)】伝説で有名な巫女のウズメノミコトよ」
「いや、知らねーよ。」
「太陽神である天照大神が隠れた岩戸の前で裸で踊った、と伝えれて居るのよ」
岩戸に籠ってしまった太陽神・アマテラスを呼び起こす為に、神々が宴を開いた。
常世(トコヨ)の国の鳥を鳴かせ、鏡と玉を賢木(サカキ)に掛けて、裸身の巫女・ウズメノミコトが激しく踊る。
あまりの賑々(ニギニギ)しさに、アマテラスは岩戸より姿を覗(ノゾ)かせた。
其の間に、男神が岩戸を一気に開けて、アマテラスを引き摺り出した。
かくして、岩戸の陰へと隠れて居た太陽は、復活したのだった…―――。
…と、云うのが天岩戸伝説である。
「俺に素っ裸になって踊れと!?変態かテメーは!!無理に決まってんだろッ」
「一護、踊り下手っぴだもんね」
「いや、そう言う問題じゃねーよ!」
「岩戸の前で、しかも踊りが達者なら、やっぱりスレンダーかつ、ナイスバディーな体型してんだろーね、きっと。其れに比べて一護は……」
「俺・は・男・だ・ッ!!!」
「仕方無いから、おりんチャンに頼んで、一護は男神役でもやったら?」
「おりんちゃん?」
「織姫の事。」
「もっと出来るか!井上にそんな事させられる訳ねーだろ!!///」
「…顔、真っ赤だよ。一体何を想像してた?ムッツリ。」
「ウッセーよ!つーか、何で井上なんだよ」
「茶渡泰虎こと≪ちゃぁチャン≫は兎も角、最近では、井上織姫こと≪おりんチャン≫と石田雨竜こと≪りゅん君≫と転校生の朽木ルキアこと≪るっきー≫とつるんでるらしいじゃない」
「何で学校に来てないお前が、そんな事、知ってんだよ。つーか、親しい所か面識すらねぇ奴にまで、渾名付けてんじゃねーよ。」
「有沢竜貴こと≪たっつん≫情報だよ。親しみや面識の有る無しなんて、区別や差別はしない平等主義者なの。私。」
「竜貴か…。区別や差別や平等じゃねーよ其れは。」
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解せぬ花