ヨモツヘグイ 10




動物方式の治療を施し終えると、彼は再び口を開いた。





「さて、と…じゃぁ俺も、##NAME1##チャンを見習うとするか」


「何を?」


「応急処置」(ニヤリ)


「Σイダダダダッ!」





あたしの前髪を、彼がむんずと鷲掴む。

そうして其の侭、頬に齧(カブ)り付いて来た。




「い゙ぃッ!?」




癒す、ではなく悪化させる様な、抉る様に舐める彼。

チックショー、彼は100%苛めっ子タイプだ。



刀傷を負った腕と頬。

血は止まって居たが、傷口や流れた緋の痕が生々しく、痛々しい。

と、言うか、治っては居ないのだから、実際、まだ痛い。傷口はズキズキと痛みを絶え間なく、訴えて居る。


其処に、彼の爪が、歯が、食い込まれた。

掴まれて爪を立てられた腕の傷口、ガブリと齧り付く様に噛まれた頬の傷口。


再び流れ出す緋色に、増した痛み。

其れに痛がり嫌がる##NAME1##を無視して、彼は傷口を舌でなぞる。

乾いた血も滲んだ居た血も舐め取り、肌を清めた。其の癒しの儀式は、腕へも同じ様に行われてゆく。


じっくりと丁寧に、ゆっくりと施される儀式が終わり、彼の爪や舌が肌から離れる頃には、##NAME1##はぐったりと疲れ切って居た。

なんて事だろう。彼は意の侭、勢いに任せ喰らう猛獣タイプかと思って居たが、苦しめつつ、嬲る傾向を好む凶獣タイプだった。





「なぁ、お前、何者だ?」





疲弊し項垂れる##NAME1##に気遣う事も構う事も無く、彼は問い掛ける。





「アンタの血が這入り込んで来たと思ったら、奴の力が目覚めてねーっつーのに、コレだ。其れに、此の精神世界、普通じゃねぇ。」


「……。」


「精神世界ってのは、主に因って作られてる。謂わば精神世界にとっては創造主であり、神にも等しい要だ。」


「……。」


「主が悲観すれば雨は降り、歓喜すれば晴れる。主が生きれば存在し続け、主が死ねば消滅する。」


「主を映す鏡。一心同体。なのに、テメェの世界は、映す処か不離一体で在ろうすらしてねぇ。逆に、其の世界の根源である主を喰い殺そうってんだから、異常だぜ。」





何を言ってるか、半分も理解出来なかったが、要はコイツは一護の力の一部だと言う事。

覚醒してないのにって、一護が覚醒したら、こんなになんの?何其れ、怖い。









白一護は、一瞬、黙る。
そうしてから、大きく笑い崩れた。
「何だよ一体、其の絵は」
しまった、と##NAME1##はノートを直ぐ様閉じる。
舞い踊る鬼の姿絵。
「相変わらずだな」
「ええ。相変わらずだよ」
「頷きながら拗ねる辺りが又、“らしい”限りだ」
白一護は楽し気に喉を鳴らす。

真っ黒な心の闇を白に染めてく。

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解せぬ花