Pkmn 02




良く、覚えて居る。

其れは、新年最初の名月が輝く、明るい夜。

雲1つ無く晴れ渡った、満月の夜の事だった。





「貴女は、本当に旦那にそっくりね。」


「父様と?」


「えぇ。特に、私が口説き落とす前の父様にね。」






覚えて居るのは、此れ位。

私が唯一、保有する、家族の“記憶”。





ノスタルジア






私は生を受け、産まれ堕ちた場所は、カントー地方のマサラタウン。

緑豊かで穏やかな田舎町の片隅の一軒家に、私は物心付いた時から、母親と2人暮らしをして居た。

と言っても、其の時間は驚く程、短かった。何故なら、物心付いて間も無く、母親は他界したから。



其れでも、私の人生に、さして支障は無かった。

母親が居なくなっても。例え、私が其の事で泣いても、だ。



私達の事情なんて知らんぷりな、揺るがない時の流れに乗って、“今日”と言う日は毎日来るし、

父親が何処かで生きて居る証の仕送りは、毎月ちゃんと振り込まれ、通帳へと記録が刻み込まれて行ったし、

近所の人達も、何かと気に掛け、世話を焼いてくれた事もあり、日々と経験を重ねるに連れて、自分で出来る家事等も増えて行った。

そうして、私は10歳になった。















And that's all…

(それでおしまい…?)

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解せぬ花