愛の形




「ただいまですよー。帰りに立てこもりに会っちゃって遅くなっちゃいました。」
「…名字さん。立てこもりには“会う“って言わないんですよ。でもご無事でよかったです。」

降谷と入れ代わりに名前が帰ってきた。
事件に巻き込まれたのにへらへらしている彼女に苦笑いしつつも全員が安堵の言葉をかける。

「降谷さんにもお伝えしたんですが、全く心配されていなくてですね…」

なぜそれを言うんだ!という空気がその場を包み込む。やばい怒って騒ぎ出すぞ、と全員耳に手を当てたが、彼女の反応は予想を覆すものだった。

「え?本当?わぁうれしいなあ〜」

そう言ってひとりきゃっきゃしている。

「あの、怒らないんですか…?」
「怒る?なんで怒るの?」
「いやだって、降谷さん心配しなかったから…」
「何みんな私が怒ると思ってたわけ?」

この場でも全員がうんうんとうなずく。その反応を見て名前はひとり笑い声をあげた。

「心配しないってことは私が無事に帰ってくれるって信頼してくれてるってことでしょ?だから怒る必要なんて無いよ。」
「そういうものなんですかね?」
「そういうものなんですよー。あ、防犯カメラとネット映像から私の姿消さないとやばい!」
零くんに怒られる!と急いで彼女は自分のパソコンに向き合った。




「…天才たちの考えることは分からんな。」
またもや全員がうんうんとうなずいた。ただひとり風見を除いては。



(絶対の信頼関係、か。)





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