「なんでお前らがいんだよ」
家からほど近いうどん屋に行けば、昼時だからと言えど想像以上に混雑していた。相席でいいですかと店員に問われ、食べるつもりで来たのに今更店を変えるのも面倒くさかったので承諾したのが愚かだった。
舌打ちをして目の前の2人を見る。
「なんでってうどん食べに来たから」
「そういう意味じゃねぇよ。なんでお前らわざわざここに来たんだよ」
「そうかっかするな奥山。オレが誘ったんだ」
なんでよりによって自分の所属しているチームのリーダと同僚にこんなところで会うのか。
注文を取りに来た店員がコップを片手に来た。
「ご注文は?」
「肉汁うどん」
「あ、私と同じやつだ」
「……やっぱ天ぷらうどんで」
天ぷらうどんですねーとさらさらとメモ用紙に注文を書いていくと店員は去った。
「それでなんだって2人でこんなところに来てんだよ。付き合ってんのか?」
「名字に庭の草むしりを手伝ってもらってな。それで以前、坂本が美味いと言っていた店を思い出してここに来たんだ」
ちくしょう。坂本に話すんじゃなかった。
「そういえば池田さんって霊感あるんですか?ほら、お寺生まれとかだからそういうのあるのかなって」
いつも通りのバカっぽそうな目を池田に向け言う。
オレよか年下で新参者のくせに、なぜ池田には敬語でオレにはタメ口で広也呼びなのか。ホント生意気で嫌いだ。
池田は少し考えてから、
「霊感……と呼んでいいのか微妙だが、なんとなく分かるな」
「へぇ、じゃあ霊に取り憑かれてるのも分かるんだろ?この場にいたりすんのか?」
少しだけ興味が出たのと、茶化すつもりで問うてみた。
「まあ……」
目の前の坊さんは坊主頭を掻き、気まずそうにオレの方を見た。
おい待て、なんでオレを見る。嘘だろおい。
「肉汁うどんの方ー」
「はーい」
名字の嬉しそうな声がやけに耳に残った。