デマントイドガーネット


「ナマエッ!なんでここに•••」

「その話は後です。ここは戦場、目的は一緒ですよ」

ナマエは一度気合いを入れ直すかのように、手を大きく振りかぶった。
先程後方を見てみるとパシフィスタと呼ばれる、'バーソロミュー・くま'のような兵器の軍隊が戦場に参戦していた。元は元七武海から作られた兵器だ。仲間の叫び声、はたまた味方であるはずの海兵の叫び声まで聞こえてくる始末。ナマエはその悲惨さから、奥歯をぎりっと噛み締める。

「後方の敵に構うな野郎共ォ!!!一気に広場へ攻め込むぞォーーーーーっ!!!」

白ひげの野太く勇ましい声が広がる。それに負けじとセンゴクの喝のような意思ある声が続く。
どうやら全ての映像が切れた後に【包囲壁】が作動し、エースの処刑が実行されるようだ。民衆にはこの戦場の惨劇も、仲間の犠牲も見せず、粛々と実行されるようだ。

「エースがやべェ!!!急がねェと•••ハァ、ハァ」

「ルフィさん、大丈夫ですか、」

彼が思ったよりも疲弊している。血もかなり出ているし、戦闘開始してからずっと走りっぱなしで、戦闘続き。かくいう自分も覇気の使用に加えて、大将や中将、その他大勢への対処。この二人で果たしてエースさんの元までいけるだろうか。
数秒にも満たない思案の後、僅かな殺気が感じ取れた。咄嗟に前に出る。

「振り出しに戻りなよォ〜〜〜•••」

閃光と共に現れた、黄色い大将。
ルフィを背に庇い、腹に覇気を集中させる。'2度も'同じ手は喰らわない。
ただ疲弊していたことに加え、早々振り払える脅威でもなく、共々後方へ吹っ飛ばされた。

「がハッ•••ぁ!」

間一髪のところで、何者かに止めてもらえた。

「ルフィ君っ!!!•••と、ナマエか!?」

「その声•••ジンベエ、さんッ!?」

「ぶへっ•••ハァ•••ジンベエ!!ゼェ•••知り合い、か•••?」

「あぁ、旧友じゃが•••今はそんなこと言っとる場合じゃない」

「えぇ、感動の再会ですが•••は、ぁ•••大将が出てきたようで」

「く、そォ•••あと少しな、のに•••」

珍しく弱気なルフィに対し、叱咤を飛ばすジンベエ。彼の参戦はかなり有難い。インペルダウンに収容されていると聞いていたが、そうか。そこでエースと出会い、何らかの過程でルフィさんと共にこの地へ来たのかもしれない。

「エースの弟!!それにナマエ!船での威勢はどうした!?もう体力切れか!?」

一旦体勢を立て直すために息を整えていると、先方に乗り出たイゾウに加えて他の隊長達が各々野次を飛ばしてくる。

「イゾウ、さん•••あんま舐めないでもらっていいですか」

「ハッ、息も絶え絶えなくせに、相変わらずだな」

「お互い様ですよ」

「よォしあんにゃろうめ•••!!!」

隊長達、ジンベエの参戦もあり、ルフィも再度気合いを入れ直す。黄猿はそれに対し、表情は変わらぬものの、やりづらさを感じていた。

戦闘は激化を極め、場内、場外共に爆撃音。叫び声、血の匂い、潮の香り、色々な匂いが入り混じる。
中々切れない映像に海軍側も慌ただしい。処刑時間は刻一刻と迫ってきていた。
そこに忍び寄る黒い憎悪。それは微々たるものだったかもしれない。なぜ感じ取れたのかもわからない。
ナマエは妙な胸騒ぎがしていた。歩みは止められない、でもほんの少し後ろに目配せをする。

後方の更に後ろ。ドンと構えて後ろは任せろと言わんばかりの大きな体躯。
そこに突き立てられようとしている刃−−−−

「白ひげさんッ!!!!!!!!!」

その刃は白ひげの体に突き刺さった。









−−−−決戦前夜

真夜中、皆が寝静まった頃に呼び出された。

「こんな夜更けにどうされたんですか。白ひげさん。」

「グラララ•••すまねェな、こんな時間に」

「それは全然問題ないですが•••」ナマエが一言告げると、座るよう促され、白ひげの目前に座る。夜というのもあり、床はひんやりとしており、部屋中に薬品の匂いも感じ取れる。様々な医療用のチューブに繋がれている白ひげは、煩わしそうに腕を上げるとそのまま手に持っている酒を煽る。マルコに小言を言われるんだろうなぁとぼんやりその動作を見つめる。

「明日、エースの奪還をする•••半ば巻き込む形になったなァ」

悪いなというのような視線にナマエはフッと息を漏らした。

「今更ですよ。偶然飛ばされた地が、あなたの船だったというだけ。
でもバーソロミュー・くまがここに飛ばしたことにも意味があると思っています。
彼にもどうやら'秘密'があるようですし。それはもう偶然じゃないのかなと思います。」

「随分とまァ、'あの小僧'に肩入れしているようだなァ」

「•••何のことでしょう」

「とぼけなくってもいいぜェ•••てめェにも守りたいものができたってことじゃねェのか?」

チラチラ脳裏に浮かんでくる、麦わら帽子に太陽のような笑み。
ナマエはそれ以上何も言い返せなかった。

「まァいい。ナマエ、明日•••おめェも参加するようだが、おれ達は'家族’じゃねェ。だが、家族じゃないからこそ、おめェの強さを認め、頼みがある。」

世界最強と言われている男がこんな盗人に頼みとは、一体何だろうか。

「おれがもし、明日の戦場で致命的なダメージを負うようなら−−−家族を頼む」






昨日の記憶が急激に蘇る。
皆、動きが止まり、辺りに戦慄のようなものが漂う。


「''白ひげ'’が•••!!!刺されたァ〜〜〜〜〜〜!!!!」