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用事があり職員室によると担任の先生からまだ提出してない人のプリント集めを頼むと言われる。名前を聞くとこの時間ならまだ教室にいるかな、なんて思い教室まで足を運ばせる。彼とはまだ話もしたことも無く留年したと聞いているせいか近づき難い存在だ。先輩だからと思い中々声をかけずらかったのも理由の一つだ。
でも彼はいつもの放課後も残って1人で教室で勉強をしている。きっと真面目でいい人なのだろうか。緊張する間に教室に着くと探していた人物はそこに居た。
「あ、場地くん。プリントそろそろもらってもいい?」
「あ?って、もうこんな時間か!!!やべ」
「ごめんね、先生に頼まれちゃって」
「いや、俺が悪い。これだったよな」
どうぞと差し出す数学のプリント用紙を見れば方程式が違うところが目立って見えてしまう。どうしよう、これ突っ込んでもいいのかな。中々プリントを見て去らない私を見て疑問に思うのか場地くんは私の顔を伺うかのようにメガネ越しから視線を感じた。
「……やっぱ間違ってるか?」
「へ」
「いや、まじまじ見てるからよ…」
「うーん…そうだなぁ。場地くん今教科書持ってる?」
「?おう」
教科書を広げ方程式があるページを出すとここに当てはめて考えることを伝える。おー、なるほどな。と、理解して持っていたシャーペンで消しゴムで消したプリントに再び書き込み始める。すると悩みながらも彼は自身の力で問題を解いた。
「あ、合ってる…」
「!!まじか!!」
「場地くん勉強すればすぐだねきっと」
「そうかぁ??まぁ、もうダブりは出来ねぇし頑張んねぇと」
「ふふ」
「………なんだよ」
「……思ってたより場地くん話しやすくてびっくりしちゃった」
「んだよ、それ」
思わず笑ってしまうと心做しか夕日に照らされて場地くんの顔が少し赤いように見える。最終下校のチャイムがなると私はすぐに時計を見る。
「あ、鳴っちゃった…ごめんね、これ持ってくね」
「悪いな、えーと」
「??あぁ、苗字 名前だよ」
「!!おー、名前か。その、ありがとな」
「ふふ、いいよ全然」
「久々にクラスメイトから声掛けてもらったわ」
「そうなの?」
「まぁ、こんなナリだとな…」
「…色々だね」
「……その、また勉強教えて貰ってもいいか?」
「私でいいならいつでもいいよ」
「まじ??お前良い奴だな、名前!」
「ふふ、場地くん頑張ってるからね」
「っふ、そう言ってくれるの名前くらいだわ」
「そうかなぁ。いつも机に向かって勉強してるじゃない、場地くん」
「あー……必死だろ俺」
「ううん。立派だと思う」
「っ、は?」
「そうやって向き合えるところ素敵だと思う。って、ごめんね、そろそろ行かないと。またね場地くん」
「……おう。悪かったな。またな名前」
にかっと笑う彼からは八重歯が見えて不思議とほっこりとしてしまう。
場地くん全然怖い人じゃなかったな。また話せるかな。
不思議と口元が緩み笑みが出てしまう。私はプリントを握りしめて再び職員室へと向かった。
(2021.12.02)