いただきます





「悪いな急に邪魔して…」
「そ、そんな!大丈夫ですよ」

「……」
「轟さん?」
「やっぱり何か手伝う」
「ええ!大丈夫です!あ、そうだ。待ってる間なのですが…お茶飲めます?」











先程から轟さんは落ち着かないのか何か手伝いたいと言う。それでも彼はプロヒーロー。日頃疲れているに違いないし客人でもあるため強引ではあるが座っていてもらおう。
お茶の話を出すと「日本茶は好きだ」と少し不機嫌そうな轟さんの声が。
少し拗ねてるのだろうか。
すぐさまお茶の用意をして轟さんをリビングにへと座ってもらう。








「…すまん」
「ええ!?どうしたんですか」
「…返って気を遣わせてしまった」
「ふふ。いいですよ、それに誰かとご飯を食べるの久々ですから嬉しいですよ?」
「……」

「テレビとか好きに変えてくつろいでください。その間に用意しますから」
「…あぁ。ありがとう」









ようやく落ち着いた轟さん。さて、台所に立ち始めようと簡単ではあるが下ごしらえをし魚を焼き鍋に水を注ぎ手際よく準備を始める。
後ろではテレビの音が聞こえる。そういえば家に誰かいるというのも久々だ。
しかも未だに夢かと疑う。
プロヒーローが自分の家にいる。うーん、信じられないなぁ…。






そんなことを考えながら少しずつおかずを作り終え盛りつけをしている最中だった。










「…なまえ」
「はーい?」





「何か運ぶか…?」
「ふふ。そしたらこれを運んで貰えると助かります」







出来上がったおかずに味噌汁 ご飯箸と用意をして2人で運び合う。
そして私は気がついていなかった。



ーープロヒーローの轟さんに手料理を出していることに。







「ああああの」
「??」
「い、今更なのですがお口に合うか…」
「いただきます」






ま、待ってという言葉は伝わらず轟さんは手を合わせて食べ始める。ドキドキと胸の鼓動が早まるのがわかる。







「……」
「だ、大丈夫ですか…」







「…美味しい」








「えっ」




「言っておくが嘘じゃないぞ。久々に美味い飯を食べた」
「よ、よかった…それに久々って」







私が久々という言葉に反応をすると言い出しにくいのか轟さんの声が小さく視線を逸らされる。







「…自炊」
「自炊?」
「忙しいと中々自炊しないで外で済ませたりしている。ヒーロー活動してるなら体の栄養面も補わなきゃいけねーのにな…」







これには私もいつもありがとうございますと声をあげた。轟さんはびっくりした顔をしていたがすぐにあぁと優しく返事をしてくれた。







「それで迷惑だろうが…」
「…どうしました?」






「また…作ってくれないか?」
「!!こんなのでよければいつでも」


「ありがとう。助かる」







私はここで轟さんの微笑みをみて胸がまたドキドキとするのが止まらなかった。
ただ、少しでも彼の力になれるのであれば助けたかったそんな理由だ。私はすんなりと受けてしまった。
さあ、とりあえずご飯を食べよう。
またメニューを考えていこう。













《いただきます》




「そういえば。携帯あるか?」
「??はい」
「連絡先交換しておいた方がいきなりきても困らないかと思って」
「え、いいんですか…?」
(轟さんのファンにでも見つかったら私ただじゃ済まされない気が…)








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その後ばっちり交換をしましたとさ。