「……随分と楽しそうじゃねぇか?」








ご機嫌斜めな爆豪くんに対して切島さんが慌てて宥めに入る。
それにしても鬼の形相で爆豪くんは何に怒っているのかな。思わず私は隣にいる緑谷さんとコソコソと話しかける。









「…爆豪くんなんで怒ってるんでしょうか」
「……多分僕のせい」








目線を逸らして言う緑谷さんに余計に謎が深まる。
一方の切島さんも必死に爆豪くんを宥めようとしている。







「なーあ、爆豪拗ねんなよ」
「拗ねてねぇわ!!!」
「そーか?」

「あ、まだ言ってなかった!
爆豪くんおかえり」
「……おー」







そう会話すると今度は切島さんと緑谷さんが目を見開かせる。







「……(はるさんに対しては素直だねかっちゃん)」
「……(爆豪わかりやすいな)」




「つーか、用終わったンならとっとと出てけ!!!」
「ちょっと、爆豪くん…」
「大丈夫だよ。
んー、じゃあ またゆっくり来るね。行こうか切島くん」

「お、おう。またな爆豪!はるさんも!」
「うん!またね!」
「何かあったらさっきの連絡先にちょうだいね」







笑顔で言う緑谷さんの言葉に爆豪くんがピクっと肩を揺らして反応する。
それを見た切島さんと緑谷さんは面白そうに爆豪くんを見ている。が、隣にいる私はなぜか爆豪くんの顔を見れないで居る。
……なるべく見ないようにしよう。怖いよ爆豪くん。
出ていこうとする2人を見送ろうと私も玄関に向かい見送りをする。口悪く言う爆豪くんもなんだかんだ言って後ろからついてくる。2人を見送ってくれるのだろう。







「んじゃ、またなはるさん」
「お邪魔しました」
「また来てね」
「二度と来ンな」
「またな!!」
「…話聞いてんのか切島」

「あ、緑谷さん」







そういえば仕事をしたいことを緑谷さんに相談していないことを思い出す。爆豪くんは俄然ダメとの一点張りだ。それでも少しの収入があれば爆豪くんに負担をかけることも少なくなる。今の自分の状況は分かっているが相談してみることを決意して話しかける。後ろにいる爆豪くんにはあまり聞かれたくない気持ちもあって緑谷さんの耳元で耳打ちをする。







「また後で相談したいことが…」
「??いいよ。いつでもおいで」



「……さっきから近ぇんだよ!!!」




爆豪くんが怒ったと同時になぜか私は爆豪くんの元に引き寄せられて爆豪くんの腕の中に居る。





「ば、爆豪くん?」
「とっとと帰れ!!」
「…かっちゃん嫉妬は見苦しいよ」
「あァ!!?」
「まぁまぁ!まあ、爆豪。頑張れよ」
「??」
「じゃあな!はるさん!爆豪!」








そう言って切島さんと緑谷さんは出てゆく。
さっきまで賑やかだった部屋も静かになる。残されたのは私と爆豪くんだけだ。





「行っちゃったね。
……爆豪くん?」






部屋に行こうとするが爆豪くんが腕から逃がしてくれない。







「ばくごーくーん。ご飯出来てるから食べよ?」
「……デクと何話してた」
「??爆豪くんの話だよ。あ、ニュース見たよ!
爆豪くん今日もお手柄だったんだね、お疲れ様!」





優しく後ろから抱きしめている爆豪くんの腕にぽんぽんと宥める。
それに対してなのか私を抱きしめる力が強くなる。平然を装っているが内心はどきどきしてしまう。






「ふふ、爆豪くんどうしたの?」
「……」
「もー、爆豪くんはヤキモチ妬きだなあ」
「あ?」
「はいはい。ご飯食べよ?」




変にどきどきしてしまうこの感情がくすぐったくてふざけてしまう。気が緩んだ隙に爆豪くんの腕から抜け出し爆豪くんの頭をわしゃわしゃと撫でる。






「今日もお疲れ様!!」
「っ、触んな」
「照れてる?ほらほら、行こ」





また怒っている爆豪くんの手を繋いでリビングへと向かう。いつも振り回されっぱなしな私だが今日は爆豪くんがほんの少し照れているように見える。少しご機嫌な気持ちになるがこの後私は爆豪くんにまたドキドキさせられることはこの時はまだ知らない。







《おつかれさま》

「……」
「??爆豪くんまだ怒ってるの」
「あ?怒ってねーよ」
「ふふ、そうゆうことにしておいてあげる」
「……」
「ち、近い。ごめん!!私が悪かったから!!」