※爆豪目線
不安そうなはるを残して今日は早く帰ると約束した。言ったとおりに早く帰れると思ったが途中で管轄内で敵が現れたと要請が入り現場に向かうことになる。苛立ちながらも早々に片を付けて携帯を手に取るとアホみてェな内容のメッセージが入っている。切島と一緒にはるに会いに来るとデクからそれだけがきていた。メッセージが来きてから40分と経過している。急いでタクシーを拾い家へと向かうと玄関に靴が増えている。デクと切島のモンだ。
本当に着やがった。早まる足を部屋へと向かわせるとデクと近かいはるの姿が見える。
…近ェンだよ。離れろクソナード。
はるに何をしていたと問いただそうとするが答えやしねえ。曖昧に俺に返事を返すコイツを見ては何かを隠している風にしか見えない。
飯を食っている最中も俺の機嫌は一向に良くはならなくただイライラしていた。
「……ねみぃ」
飯を食い終えて早々に風呂に入り 今ははるが風呂に入っている。こんな状況なんざ前から経験していたことだが大人になった今ではこの理性がどこまで我慢できるのか自分を押さえつける。好きな女が目の前にいるのにそれ以上には進めないとは。アホみてえな状況だ。
「爆豪くんあがったよー!」
風呂から出たと出てくるはるは相変わらず髪が濡れたままあがってくる。…風邪ひいたらどうすんだと呆れがはいる。
「……ドライヤー持って来い」
「え」
ッチと舌打ちをすれば大人しくドライヤーを持ってきてコンセントを通すはる。椅子に座ると髪を乾かし始める。何回目のやり取りだ。それでもこの行為ですら何年ぶりのことで思わず口が緩みそうになる。
髪を乾かされるのが気持ちいのか俺に頭を預けるはるからは俺と同じシャンプーの匂いがする。…やべぇ。
それだけでもくらっとするがなんとか堪えようとする。これがこれから続くとかきちィだろ…。
「ふふ、やっぱり爆豪くんに髪乾かしてもらうの気持ちい」
「…そーかよ」
「うん。それに久々でうれしい」
「……バカは風邪ひかねェか」
「っな」
わなわなするその姿ですら不思議と愛しいと感じる。思わず笑みがでる。大体髪を乾かさないで寝ようとするコイツが悪い。一通り乾かし終わったところでドライヤーのスイッチを消してはるの髪をぐしゃぐしゃにする。
「わっ!髪ぐしゃぐしゃになっちゃったじゃんか」
「ざまあ」
「ひどい」
咄嗟に髪を直そうとするはるの横で携帯が鳴るのが目に入る。
音の鳴った携帯を見るとデクからのメールが来ているのが見える。
「…随分仲良くなってるな」
「……爆豪くん寂しい?」
「あ?」
楽しそうに笑うはる。そんなことですら俺にとってはいい思いはしない。
俺といるくらいは他のことに集中すんな。そう思うと俺は後ろからはるを抱きしめる。
「っ、爆豪くん?」
「……」
「今日の爆豪くんなんか変だよ」
「……るせえ」
「…爆豪くん眠い?」
振り返り俺を見るはるは無意識なのか俺との距離が近い。はるを抱きしめると不思議と眠気が誘われる。
黙り込む俺を見て俺が眠いのだと勘違いをしたはるは俺をベッドへと移動させようと歩かせて誘導させる。
「ふふ、疲れちゃったんだね爆豪くん」
「……」
「ほら、頑張って」
「……ベッドは俺じゃなくてはるが寝るはずだろ」
「へ、そ、そうだっけ」
人が眠いことをいいことにベッドへと俺を連れてきたはるに苛立つ。それに自分はソファで眠るつもりらしい。そんなの俺が許すわけでもなくベッドに着て早々はるの腕を引いてベッドの中に引き入れる。
「ばばばば爆豪くん!?」
「…るせェ」
「私ソファに行くよ…?」
「めんどくせえ。本来俺はベッドじゃねーだろ」
「そ、そうだっけ」
「あァ?…移るのも動くのもめんどくせェからこのまま寝る」
「え、まっ、待って」
「……」
「爆豪くん!?」
寝たふりをすれば俺の腕の中にいるはるがジタバタと動き始める。抜け出せるわけでもねーが。
観念したのか大人しくなったはる。
何を思ったのか寝ている俺を確認するとすりすりと俺に腕を回してきた。……やべえな。こんな状況黙ってもいられなかった。
「……お前な」
「っ、な、なに、起きてたの…っ!」
「…はぁ」
「……穴があったら入りたい」
…ンなのされたら期待をしてしまう自分がいる。数年前一緒に居たときも時折コイツも俺のことをもしかしたら、だとか感じることが度々あった。
嫌がらないところを見ると今も少なからずその気持ちがあるんじゃないか。
「…俺は」
「な、に」
「今もはるに対しての気持ちは変わってない」
ビクッと肩を揺らすコイツの反応をみてまた拒まれるのかと思わせられる。
それでも俺はあの時言われて貰えなかった言葉を。たった一言をはるに言う。
「好きだ」
やっと言えた言葉だ。何年経ってもあの時言えなかったことを後悔しまくってようやく言えた。
「……はる」
「……」
「寝ぼけてなんかいねェ。お前もなんとなく気づいてただろ」
「…うん」
「俺は本気だ」
返事のないはるに余計なことを考えているんじゃないかと察する。コイツのことだ。また何かよからぬことを考えているはずだ。
「……それは」
「……」
「…気の迷いなんじゃ、」
「んなわけねーだろ。誰がこんな小っ恥ずかしいこと言うか」
「でも、それはあの時私が助けたから恋と勘違いしたんじゃ」
「あ?はるだからだろ。一緒に暮らしてて何度意識させようとしてたんだ。さすがにそこまで鈍くねえだろはる」
「う……そんなわけ」
中々信じないコイツにしびれを切らす。
この俺が言ってんのになんで信じねェんだ。
腕の中にいるはるから少し離れると俺ははるの唇にきすをする。
「ん?!」
「……ばぁか」
「っ、またそうやって」
「……自分を押し殺そうとすンな」
「へ」
「いつかまた元のとこに戻るとか考えンな。
俺が絶対方法を見つける。お前は黙って俺の傍にいりゃいいんだ」
「ふ、なにそれ。偉そう」
「あ?」
「……うん、私も爆豪くんのことがすき」
「っ!」
「……でも付き合えないよ。別れが来た時がつらい」
「……会えてンのに離れるのか?」
「それは、」
「……余計な事は考えるな。仮にダメでも俺が見つけに行く。今会えてンのに逃げようとすんな。俺はここにいる」
「……ずるい」
「っは、さっさと諦めて俺と付き合え」
理由はわからなくはないがそんなことを気にしていたらいつまで経っても先に進めやしねぇ。泣きそうな顔がいつの間にか笑い声に変わっていてほっとしてしまう。こんな気持ちにさせるのもきっとコイツしかいないだろう。
今度ははるから俺に抱きしめるチカラが強くなる。少し震えてるのか俺はゆっくりとコイツの返答を待つ。
「……うん、付き合おっか」
「……」
「え、ちょ、待って爆豪くん?もう少し段階を踏もう、待っ」
るせぇ。もう喋んな。数年我慢して我慢して実ったこの甘ったるい思いがようやく成就した。居てもたってもいられずはるの口を塞ぐ。初めてなのか息を止めて固くなるはるを見ては可愛いと思う。…絶対ェ言わないけどな。
「鼻で息しろ」
「っ、いきなりこうだと身が持たない」
「あ?何年我慢したと思ってんだ」
「…それ本当に?」
「あァ!?……んならてめえで確かめてみろ」
「っひ」
そう言うと再びはるにキスをする。驚いて逃げようとするはるを押さえつけてはまた角度を変えて口を塞ぐ。やっと捕まえたんだ。離す気なんざさらさらねえよ。
《やっと》
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