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「ねえ、緑谷くん」
「??どうしたの」



「恋ってどんなもの?」




ふとした疑問に隣にいる緑谷に聞く雪。
それを聞いた緑谷もまた赤面をして慌てふためく。暫くすると落ち着いたのかカフェで飲んでいるコーヒーカップを指でなぞり始めた。





「だってさ、私高校卒業してヒーローになってもまだ恋の経験も遭遇もなくて…」
「……雪ちゃん。恋ってしようと思ってするものじゃないと思うよ」
「!!緑谷くん大人…さては好きな人いるんだね」



ぐいぐいと聞いてくる雪にピクっと反応をして黙り込んでしまう緑谷。そんな緑谷をみては聞いてまずかったのかと自分の失態に気づいた雪。少し気まずい空気が漂い始める。




「……ごめん、緑谷くん私無神経なこと聞いちゃった」
「え、いいよそんな!」
「でもいいなぁ。私にも好きだって言える素敵な人に会えるといいな」





そう言いつつ手元に置いてあったコーヒーを飲み干す雪。目の前にいる緑谷は何やら思い詰めた表情で考え事をしている。




「??緑谷くん」

「……ねぇ。雪ちゃん」
「どうしたの」






「……僕が教えてあげようか」





ーー恋ってどんなものなのか。


絡め取られた手からは緑谷からの熱が混じっていて。繋いだ手から緑谷の熱が移ったのではと思わせられるくらい雪も赤くなる。
ここから2人の奇妙な関係が始まるとは誰も思いやしない。