第42話 隠された影 銀時side

日輪の一件から2日経った頃。
ドンドンと建て付けの悪い玄関を、乱暴に叩く音がする。夢の中へ落としかけた意識を取り戻し、頭をガシガシとかく。


誰か出てくんなーかなとボーッとして天井を眺めていれば、早く出ろというように、さらに激しく叩かれる。
そういや、神楽と新八は夕飯を買いに行ってたわ。


時計を見れば針は18時を示していた。
誰だよ、こんな時間に……



「あのー、万事屋は本日営業終了したんですよぉ。
俺ァ時間外労働とかしない主義だから、明日また来」

「銀さん‼ なまえ姉の姿がないんだよ! アパートにもさくら屋にも! 」



断りの文句を言えば、そんなことお構いなしに腰にしがみついてきたのは晴太だ。勢いが良すぎて、危うく後ろに転びかける。



「は? なまえが何? てか、晴太。お前なんでここに」



聞き間違いかと思い、しどろもどろになりながら、晴太を凝視する。
本人は時間がないと焦った様子。その後ろからちょうど姿を現したのは、買い物から帰ってきた神楽と新八だ。



「晴太、何でここにいるネ」

「今、なまえさんがいないって……」



俺たち3人は瞬時に顔を見合わせた。なまえに何があったんだ?


「いやいや、月詠にでも会ってんじゃねェの? 」


すぐにあらゆる可能性を提示するが、晴太は首を横に振る。そんなのは、もう確かめたと言いたげだ。


「母ちゃんが怪我した日から俺、なまえ姉に会ってないんだ。あの日はなまえ姉、いつの間にか居なくなっちゃったし」


そう。あの日、なまえはいつの間にか診療所からいなくなっていた。
あとからなまえのアパートに行けば、具合が悪くなったから、休みたいと言われたので、それっきりなまえとは会っていない。


「さっきさくら屋のおばちゃんが、なまえ姉が仕事に来なくて、連絡もつかないって」



なまえが無断で仕事を休むなどあるはずない。俺でも分かる。
じゃあ、なまえはどこに行っちまったんだ?
今のアイツを1人にするのは危険すぎる。


月詠でも日輪のトコでも、アパートでもさくら屋でもねェって事はアイツは間違いなく1人で行動してるだろう。


「絶対、見つけだす。だから、晴太おまえ母ちゃんのそばにいてやれ。俺も行くから」


晴太を連れて飛び出せば、当たり前のように神楽も新八もついてくる。俺は大きくため息をついた。



「来るなっていう方が無理だよなァ……」

「こんな時に呑気に夕飯食べてられないネ。探し出して、なまえと一緒に食べるアル」

「事件に巻き込まれてないと良いんですけど……」




降りしきる雨。
なまえの姿を隠すかの様に濃くなる霧。それが余計に焦燥感を掻き立たせた。

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