「おかえり、なまえ」
「なまえ姉、ありがとう! 」
ひのやに帰るなり、出迎えてくれたのは日輪さんと晴太くん。
「遅くなってすみません」
銀時さんに会ったことを伝えると、私が呼んだのさ、と日輪さんは答えた。
「言っておきたい事があってね。あの人は吉原の救世主だからさ」
日輪さんは買い物袋から食材をだしている晴太くんを愛おしそうに見つめた。
あの日のことを思い返す。
私の働いてるお店に月詠さんは、着物を貸してほしいと切羽詰まった様子だった。
その月詠さんの後ろにいたのが、銀時さんと神楽ちゃん、新八くん。
姉のように慕っている月詠さんが、私を信頼して来てくれた事が嬉しかった。
だけど、私は月詠さんや百華のように戦えない。
遊女やお客さんをあの戦いから非難させ、けが人の救護をすることしか出来なかった。
その時だ。
あの鉛色の空が、激しい音を立てて開かれたのは。
この瞬間を誰もが夢見ていた。もちろん、私も。
「こりゃ、驚いたな」
あの日、路地裏に倒れていた男性。
そう呟き自嘲的に笑う。
今まで手当てした中で一番酷い傷だった。
光が差し込んでくる。
男性は手当が終わると、
「悪いな、お嬢ちゃん」
「いえ……お気をつけて」
そう言って路地裏にまた迷い込んでいった。
"吉原の炎上"
"吉原の変"
この騒動は数ヶ月だった今も
人々の間ではそう囁かれている