「お前歌上手いな!」
歌を歌い終わり先程のテーブルに料理を運んだ時、麦わらのお兄さんがキラキラした眼差しを向けながら話しかけてきた。
「お嬢さんの透き通った声が俺の心を癒してくれたぜ…」
「俺感動したぞ!」
「この歌声が無料で聞けるなんて素敵な酒場ね」
金髪さん、トナカイさん、黒髪の美人さんが次々と賞賛を与えてくれるもんだからなんだか照れくさくなった。
「お前俺たちの仲間になってくれ!」
いきなりの言葉に思わず目がまん丸になった。仲間…?
「ルフィ、またあんたはいきなり…」
「音楽家は仲間に必要だろうがよ!」
いきなり彼らの仲間に勧誘され驚きを隠せないでいたけど、その言葉に少しときめいた自分が居た。彼らはきっと海賊だ。海賊には見えない雰囲気ではあるが、この町にふらっと訪れる人達は大抵海賊だ。そんな海賊への勧誘でも、嬉しいと思っている自分が居たのだ。
仲間、か…。
自分には生涯縁のない言葉だと思っていた。
「なあ〜俺らと海賊やろうぜ〜」
「ごめんね、コイツ言い出したら聞かなくて…」
「こんな素敵なお嬢さんが船に乗ってくれるなら俺は大歓迎さ〜!」
「サンジくんは黙ってて」
サンジと呼ばれたお兄さんは再び平手打ちを食らっている。
あまりにも目をキラキラさせながらこっちを見るもんだから、断るのは申し訳ないなという気持ちになってきた。
「ご、ごめんなさい。私は仲間にはなれません」
「嫌だ!!!」
断りにくい空気を感じながらも断りの言葉を伝えると思ってもいなかった答えが返ってきて再び拍子抜けしてしまった。
「お前はうちの音楽家になるんだ、もう決めたんだ!」
「しつこーーーい!!!」
お姉さんの拳がルフィと呼ばれたお兄さんの頭に直撃していた。ゴンといい音がした。
「これ以上迷惑をかけるな!」
怒鳴られいじけた顔をしている麦わらのお兄さんはブーブー言いながらまだご飯を食べていた。
「この町はログポースが溜まるまで7日かかるのよね」
オレンジ髪のお姉さんがログポースを指さしながら問う。
「はい、7日かかりますのでこの町でゆっくりして行って下さい」
「そうね、久しぶりにゆっくりするのもいいわね」
お姉さんはハッと何か思い立ったような表情をして言葉を繋いだ。
「この島に大きなお風呂ってあるかしら?ゆっくりつかれるような…」
「お風呂……」
そんな場所あっただろうか…頭の中の記憶をぐるりと辿っていく。
「あ、宿屋のお風呂が結構大きかったと思います!でも…」
「でも…?」
「宿屋のマスター少し気難しい人で、お風呂だけってなると貸してくれないかも…」
宿屋のマスターは口数が少なく、大体のことは「いかん」と言って断ってくる。この間も面白そうな本をたくさん持っていたから貸してほしいと言うと「まだ読んでないからいかん!」と言われたばかりだ。たくさんある中の一冊くらいいいじゃないか…と思っても貸してくれなかった。
「ゆっくりお風呂に入りたかったけど無理そうね〜…」
お姉さんがあまりにもしょんぼりするもんだから何か力になってあげたいという感情が湧き出てきた。
「明日の昼でよければ、私が案内しましょうか?マスターには少し貸しがあるのでもしかしたら交渉でき…」
言葉を最後まで言い終わらないうちにお姉さんが私の手をガシッと掴み、キラキラとした眼差しを向けてきた。
「いいの?助かる〜!」
キャッキャと喜んでいるお姉さん、そしてその奥にはお腹パンパンになっている麦わらさん、そして未だにご飯を取り合っている長鼻さんとトナカイさん。
「あたしはナミ」
「私はノエルです」
「ノエル、明日はよろしくね!」
「ノエルちゃんって言うんだね!名前まで素敵じゃないか〜!」
「ノエルー!うちの仲間になれ!」
「ウソップー!それは俺のだ!」
「チョッパーおめーさっき俺の食べたじゃねぇか!」
「剣士さんにもご飯を持って帰りましょ」
「ノエルちゅわ〜ん!」
月が綺麗に半分になってる夜に出会ったのは愉快な海賊さん達でした。