プロローグ

「別れよう」

そう、彼の口から告げられた。




付き合って5年、お互い仕事も落ち着きプロポーズされた。
式場を決めて結婚式に向けての準備をしつつ、両親にも挨拶を済ませたが、ここに来て意見のすれ違いが出始め、準備もゴタゴタしていた。

私達の仲も悪くなる一方だった。
そんな時、彼から別れを切り出された。

でも私は彼の事が大好きだし、職場にも寿退社すると伝えてしまい、もう後戻りは出来ない状況だった。
必死に彼を説得しようと頑張った。

けどダメだった。もう気持ちは冷め始めているとのこと。
とりあえず、距離を置く事にした。結婚式の準備は一旦ストップとなった。

『幸せってなんだろう……?』

名前は仕事終わりの夜空を見上げながらポツリと呟いた。
今日は1日バタバタしていて、気付いたら時計の針が20時を回っていた。
仕事の忙しさで気が紛れるので、これはこれで悪くないなと思った。

(今日は何食べよう……でもあまり食欲ないな……)

毎日残業なため、基本休みの日にしか料理はしていない。平日はスーパーのお惣菜が殆どだ。
冷蔵庫の中にも殆ど食材がなかったはず…

(スーパーに寄るのも面倒だな……もう家にあるカップ麺でいいや)

気乗りしない名前はまっすぐ家に帰る事にした。
職場からアパートまでは車で30分。
通勤中は大音量で大好きな音楽を聴いている。名前の中ではちょっとしたライブハウスとなっている。
名前にとって至福の時間だった。

帰ってまずご飯にするかお風呂にするかぼんやりと考えながら運転していた。
右折するため、右折専用車線に入った。待っていると右折の矢印が出たので私は右折しようと発進させた。

その時、対向車線から猛スピードを出して走ってくる車が見えた。完全な信号機無視だ。

ああ、ぶつかる……と回らない頭でぼんやりと思った。

名前は死を覚悟し目をつむると目の前が真っ白になり、名前の意識はそこで途切れた。

**************
16.01.24
始まりました。これからよろしくお願いします。
実は灰目の錬金術師は昔書いた時の名前です。

22.03.22 加筆修正