恐る恐る目を開けると、そこは真白い空間だった。
『……痛くない……あれ?』
ぶつかったはずなのに痛みがなく、怪我もしてない事に疑問を感じていた。
『あ……そっか。私死んだのかな?』
猛スピードの車と衝突したらそりゃ即死だよね、と名前はウンウンと頷いて自己解決していた。
『にしても、死後の世界って何にもないのかな』
名前は周りを見渡すが、真白い空間だけだった。
「よう」
『!?』
突然、背後から声がした。驚いた名前は勢いよく振り向くと、そこには黒いモヤモヤとした人影のようなものがいた。
それを見た名前は目を大きく見開いた。
『っ!?……もしかして……あなたは……』
「おや?オレの事知ってるのか?オレもついに有名になったか?」
その黒い人影は名前の反応を見てハハハと笑い出した。
そう、名前はこの黒い人影を見て確信したのだ。
『あなたは……真理……でしょう?』
こんなこと、ありえない……と苦笑いした。
「ご名答。なら話は早い」
『何故私がここに?どういうつもり?通行料なんてないわよ』
ギッと名前は真理を睨んだ。
「何故って自分でこの世界に来たいと思っただろ?」
『は?思ってないけど……』
確かに名前は鋼の世界に行きたいとは思っていなかった。漫画を読んだ時は思ったが、事故の時は”車のローンどうしよう”と思っていたのだ。しかも漫画を読んだのは、覚えてないほど大分前の事だ。
「少しも思わなかったのか?」
『ええ、車のローン返済の事考えてた』
「少しも?」
『……漫画を読んでた時は思ってたけど、事故前は思ってないわよ』
「んじゃそれだ」
真理は指をパッチンと鳴らし、名前を指差した。
顔の表情は全然分からないが、てへぺろ!という効果音が付きそうな雰囲気が伝わってきた。それを見た名前はイラッときた。
『ちょっと!無理矢理理由作らないでくれる?勝手に連れてきたって事でしょ?どうしてくれるのよ!』
「んー、どっちにしろ帰るには通行料貰わないと」
『勝手に連れてきておいて通行料?!ふざけんじゃないわよ!』
「そんな怒るなよ。わかったよ、お前に不自由させない程度の物を貰うよ」
いずれは来たかったんだからいいじゃないか、と真理はブツブツ言った。
そして真理はニッと笑い、気付いたら背後にあった扉が開き、黒い無数の手が名前を引きずり込んで行った。
『ちょっ!?何もかも全部勝手に決めるなぁぁぁあああ!!絶対戻ってきてアンタぶん殴ってやるから!覚えておきなさい!!』
「折角来たんだ、楽しんでこい」
バタンと扉は閉まった。
引きずり込まれた名前の頭に、一気に色んな情報が入り込んでくるため、頭はガンガンと痛かった。その痛みに耐えようと必死にもがいていたが、痛みに耐え切れず名前の意識は再び途切れてしまった。
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16.01.24
真理のキャラがよくわからず、酷いことになりました。
来た理由、無理矢理ですみません(笑)
22.03.22 加筆修正