03
イケメンことジェノスくんの手料理を食べれなかったことは非常に残念だけど、この買ってきたオムライス、さすが私に選ばれただけあってなかなかに美味しかった。 卵がこう、なんかとても良い感じ。
しっかしスーパーで突然声を掛けてきたハゲが知ってる奴でしかも仲良かった奴だったっていうだけでも私にしたら良いことだったのに、そいつに誘われて家にお邪魔したら超絶イケメンが待っていたとか状況を冷静に整理しても相当やばい。
私明日辺りですごい良くないことに見舞われるんじゃなかろうか。いやいやせめてこの連休中は勘弁してほしいなー、なんて。
「幼馴染みとのことですがいつ頃からのですか?」
食事中の話題提供までしてくれるジェノスくんはほんとに良い子だなぁ、師弟の距離感が何となく分かる気がする。
そういえばこの子さっきの長い話の中で自分はサイボーグがどうのとか言ってなかったっけ? サイボーグってご飯食べるの…いや目の前で食べてるサイボーグがいるからきっと食べるものなんだろうな、うん。
もしかしたらサイボーグ化したってのも部分的なもので体の殆どは生身なのかもしれな………えっ…生身でこのガタイってやばくない???めっちゃムキムキじゃない???このムキムキボディはサイタマの指導の元出来上がったとかそんな感じなのだろうか…
「えっすごいなジェノスくん触らせて」
「は?」
「…お前さぁ…」
なんかそれぞれに微妙な反応をされてしまった。理不尽だ。
サイタマなんてご飯を食べ終わったのかお茶を飲んでいたみたいだけど、湯呑みを丁寧に置いてからの文句だ。
「お前そもそもジェノスの質問聞いてたか? すぐに答えなかった俺も俺だけど」
「えっなになにジェノスくん何か質問してた?」
彼氏なら居ないよ?と、質問とやらであり得るものを明確に答えたのだが、サイタマの大きなため息という反応を見る限りどうやら違ったらしい。
む、むずかしい!19歳という多感であろう歳の子からの質問を予想するのは難しい!
ましてや男の子の…
「え、もしかしてバストの話? えー困るな私もしっかりと計ったこと無いんだよね…でも見ての通り残念ながら大きくはないよ…」
「あー分かった、お前はちょっと黙ってろ」
怒られた。
質問は確かに聞いてなかったけど答えようとする誠意は認めてほしかった。
大体私が考えるのに必死になっちゃったのもそもそもジェノスくんが話題を振ってきたからであって、全面的に私が悪いわけでも…
「あ、幼馴染みがどうのって話か!」
なるほどね!そこから私が色々と考えちゃっただけだったわ!ジェノスくん何も悪くねーわ!
いやジェノスくんがイケメンってだけで全面的に私が悪いわ!ごめんね!!
「えーと、幼馴染みが何だっけ?」
「俺らいつからの仲だっけ」
「少なくともサイタマに髪がある頃からの仲だよ」
「誰がハゲだ!!!」
「アンタしかいないよ!!!」
あまり触れないようにしてたけど、いざ頭部について弄ってみたらすごくムキになって返してきたからこりゃ相当気にしてるわこの子…。
カツラでもプレゼントしてあげるのが親友ってものなのかな…確かに25歳でツルツルの全面ハゲとかちょっとキツいのかも…。
ってなるとそのつらい状況でも私に話し掛けてきてくれたサイタマって、もしかしなくても相当いい奴なのかもしれない。
いやもしかすると既に相当参ってて私に何か励まし的な物を期待してる?ハゲだけに?励まし?
「…サイタマ、とりあえず私の気持ちばかりの胸に顔でも当ててみる…?」
「…ジェノス代わりにやっといて」
「せ、先生…それは…」
あらっあららっ、私の精一杯の励まし行為をダブルで拒否されてしまった。お得感溢れるダブルもこの状況ではちょっとしょっぱい味がするよ…。
しょっぱい味を味わいながら、先程の質問に答えるため暫し考える。
サイタマの学生服姿は…記憶にある。
ランドセル姿は…んー…ランドセルは思い出せないけどクラスに居たような記憶はある。
「小学生の頃からの付き合いで合ってそう?」
と人が確認するとサイタマが何か少し驚いてるのは何でだ。
これ「まさかお前が正解してくるとは思わなかった」って顔かコノヤロウ。
「そんな前だっけ、よく覚えてるなお前」
違ったわ、どちらかというと「まさかまともな答えが出てくるとは」って顔だったわ。
…ってどっちも大差無いじゃん!
何で私がこんなよく分からない疲労を感じなければならないんだ…理不尽だ…世界は理不尽に溢れている…。あとでジェノスくんでもじっくり見て癒されよう…。
「ってことで小学生の頃からの付き合いではあるけど当時はそんな仲良くも無かったよね」
「なー、話すようになったのも…何か面倒になってきた、ジェノスこの話まだ興味ある?」
おい今の流れはこの話に花を咲かせるところじゃなかったのか、突然の話題切りにさすがの私もびっくりだよ!
でもまぁ…サイタマってこんな奴だし…まぁ良い奴だし…。
サイタマの問いに「無いことはないですが」とジェノスくんが答えていたものの、何やかんやで丸め込まれていたようだった。
あーこんな奴に丸め込まれるとか可愛かったりもするんだなジェノスくん…イケメンなのに可愛いとか全国の女子が黙ってないでしょうに。代表して私とか。
「あ、そういえばジェノスくん」
「はい?」
「さっきの触っていいかって話なんだけど」
「そんな話してませんが」
「あれっ?」
- 3 -
*前次#
ALICE+