ネタ用

▽2020/02/13(20:30)

毎年嫌でももらう大量のチョコ。それは嬉しい、本当に嬉しい。でも、全部チョコだから少ししんどい。市販の期限が長いものは後回しだ。ただそれはレアでほとんどが手作りだ。ということはせいぜい3日、物によってはその日のうちに食べなけりゃいけない。

「甘いものが好きな俺でもキツイから、苦手な奴は相当つらいだろうな」
「え〜ブン太キツイとか思うの?」
「おう、半分くらい減ったところでちょっと飽きてくる」
「そうなんだ意外だね」
「そうか?まあちゃんと全部食べるけどな!」
「だからか!ブン太は食べてくれるからあげたいって友達が言ってたよ」
「仇になってんじゃん」

幼なじみのこいつは、いつものように俺の部屋にやってきてジャンプを読む。読み終えたら今日はこんなことがあって、とかくだらない話をする。で、明日はバレンタインだね良かったねと言われて冒頭に戻るわけだ。

「お前は?くれるんだろ?」

毎年チョコ以外のフィナンシェとかマドレーヌとか、味変できるものをくれる。それがすごく助かるから、今年も期待していた。なのに。

「今年はね、好きな人にだけあげるんだ」
「は?好きな人?」
「そう、友達にもあげない!本気でいくの!」
「へ〜……」

好きな人がいるなんてそんな素振りもなかったのに。いつから、誰を?聞こうとして、やめた。俺には関係ない。

そう思ったのに寝る時も誰だろうなんて考えたり、当日になってもあいつを目で追って誰かと話してるのを見る度に『こいつか?』なんて探ろうとしてしまう。

「なんじゃ落ち着きないのう」
「いや普通だろ」
「朝からそわそわして好きな人からのチョコ待っとんのか」
「は!?あいつのことなんて好きじゃねーから!」
「誰かとは言うとらんなり」

思わず立ち上がったがニヤリと笑う仁王に、あれ?確かに言ってねーなとまた座り直した。

「なんであいつのことだと思ったんだろうな、俺」

仁王は冷たく知らんと返し、呼び出した女子について出ていった。


昼休み、売店に行こうと教室を出たところであいつに呼び止められた。

「これ」
「弁当?俺の?」
「おばちゃんがね、明日は作れないってお母さんにお願いしてたんだよ」
「そうなの?俺、千円もらったんだけどな」
「……とにかく、渡したからね!」
「おう、サンキュー!」

お弁当を広げると、幼稚園の時を思い出すような内容だった。色んな味の俵おむすび、甘いたまごやき、タコさんウィンナー。ミニトマトにブロッコリー。懐かしい気持ちになりながら完食した。


「ってことで千円はもらっていい?」
「ダメ」
「ケチ」

千円を取り上げた母は首を傾げていた。

「確かに明日は作れないって話はしたけど……」
「じゃあ気を使ってくれたのか」

洗ったお弁当箱を拭いていると、母は大きな声で「あ!」と言った。

「そっか〜そうよね!なるほどね!」
「な、なんなんだよ」
「あんたお礼しなさいよ!」
「そりゃ言うけど」
「おばちゃんじゃないわよ?ホワイトデー、ちゃんと用意しなさい」

この千円はホワイトデー用にとっといてあげるから。そう言う母になんでホワイトデー?と思ったけど、あいつの態度や母の言動が一本の糸で繋がる気がした。
いや、でも気のせいかもしれない。たまたまかもしれない。だって、嘘だろ?
否定しようとしても、もしそうなら嬉しいと思う気持ちに気が付きあわてて頭をふった。
それでもホワイトデーになにを返そうかな、なんて今からワクワクしてしまっている。

バレンタイン

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