2.亜久津/誕生日

「おい」

「お、あっくんだ」

「あっくんて呼ぶな、てかテメエが呼んだんだろ」

「いや〜本当に来てくれると思わなくて」

「しばくぞ」

「やれるものなら」

「ちっ」

「舌打ちしなーいの」

「で?」

「ん?」

「わざわざ呼び出した理由はなんだ」

「え!わからないの?!」

「知るかよ」

「だっ!なんでデコピン!?」

「ムカつくから」

「なにそれひどい」

「何もないなら帰るぞ」

「いやいや何もないなんて一言も言ってないよ!」

「ならさっさとしろよ」

「あっくん急いでるの?予定ありあり?」

「別に……」

「なら良いじゃん」

「なんなんだよ」

「まあまあ、とりあえず行きましょうか」

「さりげなく手繋ごうとするな」

「えーじゃあ腕くむ」

「歩きにくい」

「文句多いなあ、でも振りほどかないあたりあっくん優しいよね」

「うるせえ」





「よし、ついた!入ろう!」

「あ?」

「ここのケーキ美味しいの、イートインできるの」

「なんで俺が」

「モンブラン美味しかったよ?」

「……ちっ」

「すぐ舌打ちする!」




「あ、きたきた美味しそう!」

「それ食いすぎだろ」

「あっくんも好きなだけ食べてね!」

「そんなに食えるかよ」

「えー」

「太るぞ」

「今日くらい気にしないもん」

「気にしろ」

「はい、これ」

「なんだよ」

「あっくん、お誕生日おめでとう!」

「……おう」

「それは帰ったら開けてね」

「ああ」

「って言いながら開けないでよ!」

「キーケース?」

「うん、ちょっとした小銭も入るよ」

「サンキュ」

「へへ、どういたしまして!」

「で?」

「え?」

「この後どうすんだよ」

「うお、考えてなかった」

「帰るぞ」

「んーじゃあ、あっくんの部屋で寛ぐ」

「は?」

「煙草臭いけど居心地良いんだよね」

「寛ぐだけですむと思うなよ」

「え?」

「出るぞ」

「え?え?」



「今日くらいかまってやるよ」


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