「あれ?」
部活の記録を書き終えた。
鍵当番で残っていた幸村と二人きり。
やっと帰れると思ったのに。
「一応聞くけど、どうしたの?」
「一応なの!?聞いて!!普通に聞いて!!」
「……」
「なんで無視されるのかよくわからない」
まるで聞いた俺が馬鹿だったと言うように冷たい視線で私を押し退ける。
そしてドアノブに手をかけるが、ガチャガチャと音がなるだけで開きそうにない。
「やっぱり開かないよね!」
はあとため息をつく幸村に、急に重くなる空気が嫌で話題をふる。
「でもさー」
「なに」
「こっわ!今めっちゃ声低かったよ!!!」
「なに」
「決められたことをしないと出れないとかじゃなくて良かったよね!」
「なにそれ」
「知らないけど流行ってる」
「ふうん」
もうほんとに冷たい!泣いちゃう!
泣き真似をしても全然こちらを見てくれない。
「お前と二人きりで過ごしたなんて知られたら人生の汚点だ、助けを呼ぼう」
「待って、ねえ待って。そこまで言う?」
携帯を取り出し電話をかける。切る。またかける。
チッと舌打ちが聞こえた。誰も出ないんだね。
「ねえ」
「はい」
「ボケッと見てないで友達にかけるとかしなよ」
「あ、うん、携帯ない」
あまり使わないから家に忘れてきたんだよねーと言うと、友達いないのかと、可哀想な子を見る目で見られた。
「ねえ泣くよ、本当に泣くよ!?友達いるから!!!」
「しょうがないな」
私の声聞こえてないのかな、ガタガタ言わせながら机を動かしはじめた。
「もしかして、そこから出るの??」
机を移動させた場所には少し高めのところに窓がある。
「俺が先に出るから」
手こずりはしたものの体が抜けた。
幸村でも出れるということは私でも出れると思いたい。女の子の方が細いはずだ。たぶん。抜けなかったら恥ずかしい。
窓に手をかけるものの、のりだすことができない。
「早くしろよ、置いていくよ」
「わー!出ます出ます!!!」
下を見ると「ほら」と両手を広げて待っている。
「私のこと受け止めてくれるの?」
「大丈夫、重かったら離すから」
「それ私が大丈夫じゃないよね!!!」
でもこれ以上ぐずぐずしていると置いていかれるので思い切って飛び降りる。
意外にもしっかり抱き寄せて支えてくれた。
「ありがと……」
「別に。明日しばくだけだから、たぶん柳を」
「え!?柳が犯人!?なぜこんなことをした!!!」
「俺が告白するキッカケがほしいって話したからかな」
「……私に?」
「なんて、ね」
もしも密室で二人きりになったら幸村ver.
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