「うっそおおおおおお!!!」
私の大声に「やっべえ!遅刻!」と起きた切原。
「なんだ、まだじゃん」
二度寝しようとするのを止めるべく頬をペチペチと叩く。
「まだどころか閉じ込められてるからね!?」
「はあ?」
「これ、絶対に車庫だよ……」
車庫というか、駐車場だけど。周りは見渡す限りバス、バス、バス。今私達がいるのもバス、の中。
「んなわけないでしょ」
「でも私達爆睡だったし体斜めいきすぎて見えなかったんだと思うよ……」
「……マジで?」
ようやく状況を理解してきたらしい。
ニュースで見たことはあるが本当に置き去りにされるなんて……。私達もニュースになるのだろうか。
「やっべー、部長に怒られる」
「それどころじゃないよね?!」
「あ、飴あるんだった。食う?」
「食べる」
貰えるものは頂くがポリシー。
がりっがりごり
「飴噛んじゃうんだ」
「ずっと口にあるの落ち着かない」
そういう人いるなー、私は口の中で転がす。
「何味だった?」
「レモン」
「俺もレモンだった」
「他にもあるの?」
「あと三種類」
ガサガサと袋を見てまで答えなくてもいいのに。
「レモンってさあ」
「うん?」
「ファーストキスの味っていうよな」
「初恋じゃなくて?」
「そうなの?どっちでも俺はお前となら……」
バタバタと聞こえる音になんだろうと外を見ると、スーツ姿の人達がこっちに向かっている。
「ね、気づいたんじゃない!?」
「えー……」
ガチャッと開く音。
「無線で人影見えるって言われて飛んできたよ、大丈夫だった?」
「助かりましたああああ!!!切原、おりるよ!」
「あーうん……」
私達も悪いからと言っているのに、送るから待っててと車をとりに行ったおじさん。
「さっき、半端になったけど」
「うん?」
「俺の初恋だからな」
もしも密室に二人きりになったら赤也ver.
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