君を守り隊18

小春ちゃんが私を、そしてゆっくりみんなを見て寂しそうに笑った。ユウジが何かを言おうとしたがそれを白石が止める。私も、他の人が口を出してしまうと小春ちゃんとはもう会えないような気がした。

「ごめんねなまえちゃん」

「私、なにかしたかな」

小春ちゃんがしたことは正直、すぐには許すことはできないくらい辛かったししんどかった。でも、原因が私にあるなら、気が付かないうちに追い込んでしまっていたならと思うと責めることができない。

「なまえちゃんはなんも悪くないねん、悪いのはアタシだけやねん」

「ねえ小春ちゃん、話してほしいよ」

そう促すと静かに話してくれた。ある日からユウジが先に帰りはじめたこと、登校も時間をずらしたこと、それが私の為であったこと。いつも小春小春って言っていたのになまえがなまえは、と言い出すようになったこと。

「さみしかってん……」

「そっか、そうやったんや」

泣き出しそうになる小春ちゃんに近寄ろうとしたが、私より先にユウジが駆け寄った。

「小春うううう!俺にとって大事なパートナーに決まってるやろ!さみしい思いさせてごめんなあああ!!!」

「離して!さみしかったんはなまえちゃんがアタシには相談してくれへんかったことや!ユウ君のことちゃうねん!!!」

「え?小春???」

「ああいう手紙を送れば相談してくれると思ったんや!でも、怖がるなまえちゃんを見てたらとんでもないことしたなって、だから冗談やでなんて中々言い出せなくて……」

「こ、こはるううう俺は!?俺のことは!?」

ユウジに抱き着かれながら涙している小春ちゃん。どうしたら良いのか様子を伺っていると財前がそんな二人をパシャパシャと撮りながら言った。

「なんや解決しましたね」

「あ、うん、なんというか、拍子抜けや」

白石は怒ってる感じが伝わってくるし、千歳は無表情でよくわからない。結局ラブルスに巻き込まれた当て馬か私。なんだったんだこの一ヵ月。でもなんか忘れてるような気がするなあ、と思いながら携帯をポケットにしまうとちよが近づいてきた。

「みんな何してるん」

ちよの手にはお菓子が握られている。口をもぐもぐ動かしているから食べながら帰るところだったんだろう。

「あ!それ!毒入りお菓子!」

「毒!?え、食べちゃったよ!?」

慌てる私たちに小春ちゃんが「毒を盛ってやるってことを言ってる?」と聞いてきたので「それそれ」と返した。

「全部本気ちゃうかったんよ」

「でもこのお菓子部室のロッカーに入ってた」

「それ金ちゃんちゃうか」

白石が思い当たると言うとちよも頷いた。

「うん。なまえが元気ないってお菓子買ってて、余りを近くにおった私にくれてん」

それが今食べてるこれやねんけどと見せてくれた。

「下駄箱にお菓子入れようとしてへんかった?」

「してへんよ。食べながらのぞいてはいたけど、おるか確認したかっただけやもん」

「あ、ほなあれは?スライムは?」

「スライム?なにそ……あ」

「その顔はなんや〜?ちよちゃん〜!」

明らかにしまったと顔をしているちよに詰め寄ると教えてくれた。

「あれ、マシュマロクリームやねん」

「マシュマロクリーム」

「めっちゃ美味しいねん!」

「……で?」

「それで、その……同じように食べながらおるか確認するのにのぞいたらこぼしてしまって、でもちゃんと拭いたんよ!」

「拭き切れてなかったと」

「……え、えへ?」

「嫌がらせやと思ったやんか!!!」

「ごめ〜ん!」

どんどん様子おかしくなるから心配だったんだよ、と言うちよ。みんなもそうだそうだと頷いた。手紙の送り主である小春ちゃんもやりすぎたって心配してくれていた。嫉妬が勝ってたみたいだけど。「一件落着やなーたこ焼きでも食べて帰るか」白石がそう言ったが、私は疑問だったことを聞いた。

「ところでさ、みんな部活は?」

私は休むとオサムちゃんに伝えたけど、と続ける。しかし『忘れてました』、とみんなの顔に書いてあったので、今からでも良いから戻りなよ!と説得していたら「おーい」って謙也が走ってきた。

「みんな何してんねん、部活始まっとるで!」

「いや、ちょっと……」

「え、なんなん?もしかしてみんなみょうじの取り合いしてるん!?」

言いにくそうにする私と苦笑するみんなに何か勘違いしたようで一人焦りはじめた。そんなまさか、そう言おうとしたところ千歳に邪魔をされたあげく誤解を肯定する状況になってしまう。

「俺は告白したと」

「な、なんやて……みょうじ!」

「へ!?はい!?」

「俺、みょうじが好きや!付き合ってください!」

あまりに力強く名前を呼ばれたので思わず身構えたが、発せられた台詞は予想外のもだった。ポカンとした空気の中、謙也は顔を真っ赤にさせて返事を待っている。その光景がなんだかとてもシュールだ。何も知らないって平和だなと、遠いどこかで考えていた。



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